日本語において、熟語(複合語)の発音では、アクセントが移動します。一部の例外を除き、前につく語ではなく後ろへつく語の冒頭(せいぜい前につく語の末尾)にアクセントが来ます。
したがって、「アニメ◯◯◯」といった複合語は、それが複合語として意識されている限り「アニメ」の「ア」にアクセントがくることはあり得ず平板となります。(逆に「◯◯◯アニメ」の場合は、起伏発音で必ず「ア」にアクセントが来ます。)
もし起伏発音する人がいたら、その人は複合語ではなく独立した別の単語として意識していると考えられます。その単語を特別に強く意識しているとさえ言えます。
NHK総合テレビで1987〜1989年に放送された「アニメ三銃士」は、正式作品名に「アニメ」が入った希少な例ですが、これは完全な複合語扱いと言えます。当然に、出演声優さんたちも次回予告などで平板発音していました。NHKアナウンサーなどによる番組告知も、残念ながら手元に記録が残っていませんが、平板だったと記憶しています。
1988年のNHK教育「土曜倶楽部」の声優体験特集では、司会のいとうせいこうさんが、「アニメ」を平板発音する一方、「アニメ三銃士」を「ア」にアクセントを置いて発音していて驚きましたが。
ところが近年のNHK(に限りませんが)は、実写版などが先に公表されていない作品でもやたら「アニメ・◯◯◯」と新聞発表などでも記述するようになり、それらは番組告知などではほぼ例外無く起伏発音なのです。
複合語ではなく別々の単語扱いだからでしょうが、アニメがいまだ特別扱いされていることの証左ですね。記述で特別扱いするから、それを発音する際でも意識して起伏になりがちなのです。人々の意識・認識が表れる好例です。そうまでしていちいち頭に「アニメ」をつけないでほしいものです。
NHK「アニメ三銃士」
https://youtu.be/NyEel86vKyE
NHK「土曜倶楽部」
https://youtu.be/LQ3CnWRUbrM
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