まとめ(要約版)

「アニメ」の発音がおかしいぞ!

2016年6月12日(2020年4月21日最終修正)
                                                                                                                           TAL

 日本語は不思議な傾向がある単語を単独で発音する場合の話だ。
 様々な新語は、概念として登場した当初は明確なアクセントがあったとしても、使用頻度の高い現場を皮切りに、認知され普及していくにつれ、アクセントが不鮮明になり消失することが一般的だ。より一般的な同音異義語が他にある場合は、当初からアクセントが無い傾向さえある。明確な場合は起伏発音、消失した場合は平板発音と呼ばれている。

 「アニメ」という単語は、かつてあった「アニメブーム」(1977〜1985年頃)の時期に初めて一般化した。その使用は当時の「アニメファン」たる「若者」から始まった。「宇宙戦艦ヤマト」に象徴されるように、それまでの子供(小学生以下)向け前提の芸能としてではなく、若者(中高生以上)向けの新しい分野の表現として認知してほしい「若者」たちが率先して使用したからだ。そしてその発音は当然のごとく平板だった。いや、状況の改善を切望し、新しい文化の開拓・創造への強い意思を込めて平板発音にこだわったのだ。その後も、アニメ業界関係者やアニメファンはもちろん、一般芸能人の多くや、一部とはいえ放送局アナウンサー・学識経験者さえも平板発音をしていた。

 ところが近年、起伏発音者が増えている。これはどうしたことか。「アニメ」という単語が人々の口から発せられる機会が大幅に増えたことが背景にある。製作委員会方式の普及や聖地巡礼の顕在化に伴い、マスメディア以外の現場(国や自治体の政策会議、地域イベントなども含む)で異業種どうしのコラボレーションも増えた。番組紹介や商品宣伝のCFも増えた。そして、仕事などでアニメに関わる「非アニメファン」が増えたのだ。そして起きたことは、「同調圧力」だ。平板発音者がごく少数の場合、とてもしゃべりにくそうにしたり次の瞬間には起伏発音になびいてしまう光景を見る(観る)ことも少なくなく、日本社会における「同調圧力」の恐ろしさをひしひしと感じる。
 これは、人々の意識・認識の問題だ。「アニメファン」が依然として世間における異端者であり、正当な市民権を認知されていない証拠なのだ。いまだに特別扱いされているのだ、アニメ業界自体さえも。

 日本語の一般的傾向である起伏から平板への発音変化の原因の一つとして、平板の方が何となく「カッコいい」「粋だ」「通だ」という感覚があると思われる。そのことに詳しいことが「カッコ悪い」「特殊な」ことと思われていなければ、平板発音者が自らを卑下して起伏発音に変わってしまうことも無く、むしろそれまで起伏発音だった人が若干の抵抗も残しつつ平板発音へ変わっていくはずだ。それはプロの仕業を素人が敬意を払って見習う、というおよそあらゆる文化の伝承・普及・浸透のありようではないのか。その逆(平板発音者が起伏発音に変わってしまうこと)はあり得ないのだ。
 ところが、「その逆」(逆転現象)が実際に起きているのだ。こんな事例は他にない。少なくとも私は知らない。「時代の流れ」「言葉は生き物」と言うなかれ。「逆行(逆転)」は「退化」と同じ。あってはならない。認識の「進化」への不断の努力が必要とさえ言える。
 
 誤解しないでいただきたいが、私は決して誰もが平板発音しなければダメだ、と言っているのではない。アニメに全く興味のない人に平板発音を強要する気は毛頭無い。だが、アニメに少しでも興味がある、また少しでも直接関わりのある人には、少なくとも平板が本来の「正統な」「粋な」「玄人」「通」の発音であることを率直に認めていただきたい。そして、できればそれを見習って平板発音してみていただきたいと思う。
 一方で、私のようなアニメファン第1世代にとって「こちら側」と思われる層の人、すなわち業界関係者(特に声優)や他のアニメファンに起伏発音されることは、ある意味裏切りに近く、堪え難い。ちゃんと歴史を知り、伝統を尊重してほしい。また特に、専門チャンネル・番組・イベントの関係者は、「文化」の啓蒙者としての自覚も持ってほしい
 発音変化の向きが正常になって初めて、アニメは真に「市民権」を得た「文化」として認められ定着したと言えるのだ。

※2019.6.1追加
 なお、外来語のアクセントは方言とは基本的に無関係だ。また、「アニメ」はアクセント辞典でも、「ゲーム」「ドラマ」と違ってもともと平板発音から拡がったため起伏平板の完全併記であり、平板が公的かつ自然な発音として認められている。少なくとも業界関係者やアニメファンならば卑下したりせず自信と誇りを持っていただきたいし、そのような自信と誇りが世間に受け入れられてこそ「市民権」を得たと言えるのだ。

9 件のコメント:

  1. ブログ読みました。アニメファンと非アニメファンの間では世代や時代によって、アニメへの認識・評価が、そして「アニメ」という単語の発音方式への思い入れも、様々なんだなあと知り、勉強になりました。昭和時代は標準語普及の役割も担ってきた日本の放送界が平成中期ごろからいっきに大衆迎合の傾向になった事も事実ですね。
    ただ、「平板型で言うことがカッコいい」という流れは平成中期のティーン層から始まったことであり、クイズダービーの頃の日本語には無かった感覚だと思います(つまり日本語固有の感覚だとまでは思わない)。とにかく、たまたま平板型で始まったこの単語が途中から何らかの理由で起伏型に替えられたわけだが、その理由がカッコ良くないものにおとしめるためだとは私には思えないが、私の回りには、アニメ文化を殊更敬愛する人も卑下する人もいないからなのかもしれませんね。
    「業界人ぶる」ためにわざと語順を逆にして使うという傾向がいくつかの言語で見られますが(トーシローなど)、その派生形で高低アクセントだけを逆にした、という可能性もゼロではないかも。
    ちなみに、私はアニメの発音に拘ってはいませんが、放送では(公式では)どちらか一つにし、それだけ使うようにしてもらいたい、辞典も「人々が今どのように使っているか」を記すのではなく、「公式にはこのように使え」という謂わば『アクセント規定』にしてほしい、コロコロ変えるな、という立場です。

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  2. もう1つだけ。平板型「アニメ」のほうが起伏型「アニメ」より優勢になった原因として可能性が有るのが、複合語からの切り離しです。前に、当初「アニメーション漫画」(長い単語や複合語は蒲鉾型アクセントになる)から切り離して平板型の「アニメ」という単語ができたと仮定しましたが、しばらくすると、切り離された独立単語「アニメ」が今度は別の単語と結合して複合語を作るようになりました。複合語の先頭につく場合(例:アニメ制作)はアクセント型に影響が有りませんが、後ろにつく場合(例:テレビアニメ)は、蒲鉾型化の結果、「アニメ」の部分のアクセントが起伏型になります。アニメの種類がどんどん多様化し、それらを分類して個別に命名するようになる時期に、このように「アニメ」が後ろに来る複合語をたくさん耳にするようになりました(子供向けアニメ、エロアニメ、劇場型アニメ、etc.)。これらを聞いて育った人々は、「アニメ」が元々起伏型の単語であると無意識に類推し、単独で「アニメ」と言う時も起伏型で言い始めた、という可能性が有ります。
    しかし、同時期に、単独の「アニメ」を元々の平板型で発音する人々も存在していたわけですが、おそらく年齢層が違います。起伏型アニメの人々は日本語を習得したての若年層が主で、平板型アニメの人々は「アニメーション漫画」からの切り離しの時期に既に「アニメ」の発音を獲得して脳内に定着させた中年層が主でしょう。ここで同一言語社会の中で2派の競合が起きるのですが、やがて若年層が社会人になって社会に影響力を及ぼし始めた現在、起伏型の「アニメ」が優勢になっている、と考えることもできます。
    このような競合状態では、一方が他方を完全に滅亡させる場合もあれば、それぞれが意味の住み分けを行って両者とも存続する場合もあります。私は、アクセントによってニュアンスの住み分けを行っているように感じた、という次第ですが、主張するほどの確信は持てません。昨今、標準語教育が力を失い、アクセントがほとんど逆の人がマスメディアに何度も登場しては異なる日本語をばらまいていくので、近い将来日本語から高低アクセントが消滅するのではないか、とすら感じています。

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  3.  丁寧なコメントをどうもありがとうございます。
     複合語の影響のご指摘は、過去にも同様のコメントをYouTube側でいただいたことがあります。ご指摘は一面では当たっていると思います。ですが、やはり強い疑問は残ります。

     例えば、最も関係が深い隣接分野と言える「漫画(マンガ)」の場合を考えてみてください。「SFマンガ」「スポーツ漫画」「少女漫画」など古くから後に付く形の複合語が浸透し起伏発音されていますが、だからと言って単独語の「マンガ」を起伏発音する人は皆無ではないでしょうか。「マンガ」については、「まとめ」ページや個別投稿「方言との関係」などでも触れているように、外国人は、英語・ドイツ語・スペイン語の辞書には起伏(第1アクセント)で掲載されており実際に起伏発音することが多いですが、日本人は、戦前(明治〜昭和初期)には起伏発音だった可能性が無きにしも非ずですが現在では世代を問わず起伏発音者は皆無でしょう。アニメとマンガの文化的浸透度の違いですが、アニメも早くそうなってほしいと正直思います。
     また、「映画」の場合は、「アニメ」と同様に辞書でも起伏・平板が並存ですが、アニメと違い(不良が観るものというレッテル貼りの歴史はありますが)子供向けで低俗などという形で虐げられてきた歴史が無いこともあり、起伏・平板の区別において侮蔑的な意味合いはありません。
     個別投稿「多様性?」でも触れていますが、結果としての並存は、「アニメ」の発音に関する歴史的経緯を誰もが認識していることが前提です。その上で、「玄人(業界人、業界関係者、濃いファン)」はあくまで平板が基本(息継ぎなどでやむを得ず起伏になってしまうことは許容)で、「素人(玄人以外)」は平板が増加傾向であるべきだと思うのです。完全統一(強制)は、望ましくないし無理だと思いますが、「玄人」に限っては統一された方が良いです。発音の「使い分け」は、全体としてみればこのような「立場(アニメとの距離感)」にのみ基づくべきなのです。
     なお、アニメを「特別視」する者は、現在の若い世代では少数派だとは思います。そして、大のアニメ好きのはずなのに起伏発音するのは歴史を知らないからだけと承知しています。ただ、起伏発音は平板発音に比べて、その単語自体を明確に意識しないと困難なことも事実です。その限りの意味での「特別視」は残っていると言えます。(世代差については、「コミケ参加者アンケート」ページの「分析」部分をご参考にしてください。)

     いずれにしろ、私が問題にしていることは結局3点しかありません。第1に、歴史を知らずに無邪気に(または勘違いして)起伏発音すること。第2に、2010年頃を境に「玄人」側の起伏発音があまりに目立つこと(例:アニメ本編中でアニメファンなど「玄人」設定のキャラクターが起伏発音ばかり)。第3に、「玄人」が自信と誇りを持てずに卑下したり擦り寄る態度をとる(その結果として平板発音を起伏発音に変える)ことです。この3点が根本的に解決すれば、起伏発音者が減り平板発音者が増える(アニメに関心や関わりがある者は平板発音が基本という昔のような状況に戻っていく)という自然な流れが定着しますので、「映画」のような並存状態であったとしても問題はありません。

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  4. >>>だからと言って単独語の「マンガ」を起伏発音する人は皆無ではないでしょうか
    仰るとおりです。複合語からの切り離し説は一般化できません。「マンガ」が平板であり続けた理由は別にあるようですが、「文化的な言葉」のような話者の意識ではないように私は直感します。

    言葉を使う人の意識によってその単語の高低アクセントが特定の1種類に変化するという説を一般化することには同意できませんが、こと「アニメという特定の単語について」一部または多くの人が一時期において「話者の意識がアクセントに影響を及ぼした」ことについては、反論できません。なぜなら、私がアニメに対し特別な思い入れがないこと(つまり無関心だった)や、「アニメ」のアクセントの主流が交代したと思われる時期に日本に住んでいなかったので、まさに現場にいた方々の主張を尊重するほかありません(「特別視」についても、何も言えません)。一般化するのであれば、同様の例を数百ぐらい挙げられないと説得力がないでしょう。音声記録があるのはせいぜい戦後であり、80年代以前はテープを上書きしていたので、検証できるかどうか。。。

    普通であれば単に単語のアクセントが変化したという認識で終わるところが、そうならないのはアニメが放映されるようになってからの60年間に、これに向けられる世間の目が様々に変化してきたこと、それを関係者が敏感に感じていたことが強く関係していますね。
    日本人の多くが歴史ロマンは好きだが史実を丹念に学ぶことをやりたがらず、むしろ都合の悪い歴史を一切水に流して新しい未来像を描くことには魅力を感じる。言語獲得・実践についても、似たような傾向があるが、自分が育つ前の母国語の仕組みについてしっかり学ぶことは重要なはずだ。TALさんのように具体的な資料を探し、それを基にして議論する姿勢は良いと思います。

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  5. 外国語に輸出(借用)された場合の借用先のアクセントを手掛かりに、借用された時期の元の言語での発音を類推する方法は割と一般的ですが、しかし西欧言語のほとんどが強弱アクセントであり、東亜言語の多くが声調言語(日本語も一種の声調言語と言える)であるので、単純に音程の高い音節を音量の大きい音節に結び付けるのはやや強引に見えます。また、少なくとも英語とドイツ語は、短い名詞であれば最初の音節に強音節を配置する傾向が非常に高く(英語で長い名詞だと後ろから2番目)、借用時もそのルールを優先しがちなので(日本語を知らない米国人が伊豆を「イ~ズ」、船橋を「フナバ~シ」と言っている(「~」の直前を強勢))、借用元の高低アクセントの証拠にはならないかもしれません。スペイン語では基本的に後ろから2番目の音節に強音節が来るので、借用後に第1音節に強勢がある場合は、借用元の言語のアクセントに原因を求める動機にはなります。ただ、「アニメ」の場合、日本語>スペイン語>英語の順に伝搬したとは考えにくく、おそらくまず英語に借用された後、それをスペイン語に借用する時に英語の強勢に倣ったのではないでしょうか。ちなみに、フランス語で「アニメ」は「メ」に強勢があり、それはフランス語の全ての単語が最後の音節に強勢を置くことになっているからであり、借用元の言語での発音は関係ありません。また、そのイントネーション(各音節の音程)も、個別の文の中で高くなったり低くなったり(日本人的には起伏に聞こえたり平板に聞こえたり)します。

    余談ですが、数日前TBSラジオ平日8時台の番組でアニメに関するQ&A形式の解説が行われていました。そこには専門家と局アナ(若い女性)と番組パーソナリティ(ウタマル)が出演していて、「アニメ」を、専門家は平板、局アナは起伏、ウタマルは混合(平板だったり起伏だったりで一定しない)で発音していましたから、「ふうむ、玄人には平板で発音しようとする意識があるのかな?」と思っていたところ、番組後半になると専門家も起伏で発音することがありました。しかし、この玄人が局アナに媚びへつらい擦り寄っている感じは無かったですよ。人は流されやすく、わずか40分の会話でも無意識に他人の発音が移ってしまう、そんな一例だと私は感じました。そして、マスコミの影響力は絶大です。マイクを通して1人が一度に数万人に対し間違った発音や意味を教え込むこともできる、怖ろしいものです。

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  6. 最後の3点について、私はまあまあ同感ですが、私なりに言い換えると次のとおりです。
    (1) 日本の多くの話者は(欧州に比べ)母国語を系統的に学びなおすことをせず、自分の周辺(マスコミ含む)から聞こえてくる発音を模倣だけで言語を獲得する傾向にある。もし複数の発音が混在していたら、頻度の高いほうを採用する。もし同程度なら、自分が敬愛する人物の発音方式を採用しがちになる。玄人が平板を好んだのは、平板アクセントそのものよりも、そのように発音していた先輩玄人を敬愛していたからという面もあろう。(2) 2000~2010年の時期は、「アニメ」に限らず、日本語の発音、語彙、文法、観念などあらゆる面が大きく変化した。そしてマスコミ同様、人気作品内での言葉遣いも影響力が大きかった。似たようなことがファミレスやコンビニなどの全国チェーンでの従業員の定型文句だ。接客マニュアルの中の定型文句に間違った用法があったとしても、チェーン店が10年も営業すれば、それが日本語の正しい用法として定着してしまう。(3) 玄人に限らず、また言語使用法に限らず、周りに合わせて擦り寄る傾向が日本人は強い。玄人が誇りを持つことにも意義はあるが、たとえば各放送局にロビー活動を行って、マイクを持つ人間が皆「アニメ」を平板で発音するように規制するか、あるいはアニメの大家が全国の全世代に敬愛される超有名になって(総理とか)その人が日夜記者会見で「アニメ」を平板で言うようにする、といったやり方のほうが効果がありそうです。

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  7. 「アニメ」から外れますが、私がアクセントで気になっているのが「支援」という単語です。これは昔(20世紀)起伏型で発音されていましたが、最近マスコミはこれを平板型で発音しようとしています。ただ、アニメと違い、「支援」という言葉に対して上にも下にも特別視された時期があったようには思えず、私は、「支援金」「支援団体」などの複合語から切り取って平板型だと類推した人たちがマイクを持って話し始めたからか、あるいは「支援」を平板型で発音する方言の出身者がマスコミでたくさん話したことでそれを聞いた人々に伝染したからか、そんな可能性を推察しています。でも、これが言いたいことではありません。アクセントの変化の原因が何であれ、この単語を含め多くの単語がオンライン版アクセント辞典(https://accent.u-biq.org)に掲載されています。
    このサイト、意見が分かれる単語に関しては両方併記なのですが、そこにアンケート機能も盛り込まれていて、今現在どちらが優勢か分かるようになっています。ただ、これが実はインチキだったのです。4年前ごろ私が「支援」に関しそのサイトを見たら、起伏型が230票で平板型が280票ぐらいでした。そこで、私が起伏型に1票入れたら、すぐに平板型にも数票追加されました。「あれ?そんなに頻繁に投票されているのか?」と疑問に思い、翌日実験的に起伏型に100票入れてみると、次の日に平板型に1000票以上追加されていました。さらに次の日に私が起伏型に1000票追加すると、翌日には1万票追加されていたのです。つまり、サイトオーナーかバックグラウンドの誰かが恣意的にどちらかを優勢に見せたいのだ、ということが分かったのです。
    そして、このサイトを今見てみたら、「支援」が平板型のみの表記になっています。https://accent.u-biq.org/si.html
    この実体験から分かったのは、日本では、答えありきの調査、答えを誘導して都合のいいほうを正当化するための調査が行われているということです。
    なお、TALさんにとって残念なことに、「アニメ」は起伏型に収束させられているようです。https://accent.u-biq.org/a.html
    今やNHKですらアンケートで多いほうを採用する(に切り替える)傾向にあり、他の放送局も含め、このサイトを参照先にしている気配が感じられます。歴史的経緯とか語法上の理由とかを説明することもなく(説明責任の乏しい国だし)、アンケートという印籠で決められているようです。残念ですよね。

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  8.  大変有益な(かつ驚愕の)情報をありがとうございます。
     当該サイトは、「アニメ」「ゲーム」は起伏のみで、「映画」は平板派が多数、「ドラマ」は起伏派が多数の状況になっていました。「ドラマ」が混在なのに「アニメ」が一方のみというのは、歴史的経緯から言っても紙のアクセント辞典の記述から言っても許しがたいですね。少なくともNHKは、自ら発行している紙のアクセント辞典を尊重するようにしてもらいたいですよね。

     卑下・擦り寄りなどではないにしても安易に同調する傾向は本当に強いです。広い意味での「同調圧力」「空気を読む」ということで、だからこそ発音者の立場(その分野の玄人かどうかなど)が優先されるべきだと強く思います。「文化の担い手」「文化の啓蒙者」としての自覚があれば、簡単に同調しないでいただきたいものです。
     個別投稿で大量の実名を挙げて平板発音者を紹介していますが、混在したり起伏に変化したり色々あって安定していないのも事実で、不安が消えません。現時点で大物芸能人といえる人でも明石家さんまさんやタモリさん、NHKアナウンサーでも渡邊あゆみさんは、平板でほぼ安定していますが「良い見本」になりきれていない感じで、アニメ好きを公言する一般芸能人やアナウンサーの中でも起伏発音者が後を絶たず「悪い見本」が蔓延しているのが実情です。「素人」から見てある意味「業界代表」と思われていそうな声優さんたちが若手中心に起伏発音者の比率が高いためか、起伏オンリーからいったん平板オンリーに変わったように見受けられたのに起伏基調にまた戻ってしまった西川貴教さんのような例もあります。

     声優さん(&音響関係者)に対しては、業界3団体に(メール&電話で)直接働きかけたこともあります。いずれも真摯に対応していただけましたが、構成員への広報媒体をしっかり持っている某団体でさえ、事務局判断により理事会で議論していただいた結果「一般人の意見紹介としても掲載は困難」との結論で、構成員一人一人がこの発音問題に気づいてもらう機会すら確保できませんでした。

     放送局等への「ロビー活動」とは、私のような放送業界と無縁な一般人にどこまでできるものなのでしょうか・・・。
     放送局内ではなくイベント会場等で直接文書を手渡しするのが関の山でしょう(聖地巡礼にも関わる某イベントで某自治体職員にこの問題に関する冊子を手渡したことがあります)が、単なるアルバイトやイベント担当者に渡しても(受け取ってもらえたとしても)しかるべき部署に届く保証はありません。郵送(手紙)も、しかるべき部署にきちんと目を通していただけるか心許ないです。電話は、即答しづらい内容なので不適当(メール返信内容の不明点確認程度にしか使えない)です。メールは、文字数の制約からも趣旨を正確に理解していただくのは難しいですが、最も確実に意見伝達できる手段ではあります。まあ、この「まとめ(要約版)」ページをさらに要約した上で放送局向けにした文章ですが。
     BSやC Sのアニメ専門チャンネルに対しては、具体的な番組の感想として意見投稿可能なチャンネルのみメール投稿しています。また特に、NHKに対しては、複数回メール投稿しています。(「クローズアップ現代」のアクセント特集回放送直後、朝ドラ「なつぞら」の放送開始1年前や放送中)。今後も、何らかの形で行う可能性はあります。

     もう少し補足させてください(「まとめ」ページや個別投稿にもありますが)。
     外国人については、「アニメ」のアクセントは、実際は英語も含めて平板発音者が多いです。フランス語やスペイン語の場合も、その発音原則はもちろん承知していますが、辞書でも「メ」に相当する部分にアクセント符号が打たれていますしね。
     アニメ本編中の「玄人」設定のキャラクターの発音は、2000年代の「げんしけん」や2010年代の「SHIROBAKO」のように平板発音を徹底する形に戻ってもらいたいものです。

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  9.  「支援」については、平板にしたら「私怨」と混同しそうな印象です。「財政支援」などもよく使われる複合語だと思いますし、起伏が自然な気がしますが。
     以前コミケ参加者アンケートの際に、「音楽」について指摘されたことがあります。その方は「起伏でなく平板に言う輩が気になる」と大層憤慨されていました。起伏が自然だとは思いますが、「専門家アクセント」としての平板化は珍しいことではないので個人的には「まあ少数派だろうし目くじらを立てるほどではないかも」とも思いました。(調べてみると、「音楽」については、既に1960年代から専門家の中には平板発音者がいたらしいです。)
     結局、その分野に関心が高い(愛情が深い)ほど気になるものなのでしょう。アニメファン以外の人は、「アニメ」が起伏だろうと平板だろうと気にしない人が(特に若者では)多数派でしょう。ですが、文化としてのアニメが辿ってきた歴史的経緯は特異なものであり、勘違いで発音を変えることはしてもらいたくありません。「歴史の生き証人」としての「意地と誇り」で、私自身はこだわり続けますし、社会に対しての働きかけ(歴史の周知を含む)も続けます。

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