1〜4月にBS(プレミアム4Kのみ)で放送され、4〜9月にNHK教育で放送された「世界サブカルチャー史・欲望の系譜4・21世紀の地政学」。 2021年からBSで放送されてきたシリーズの第4弾は、ジャンル別に取り扱うものとなりました。「アイドル編」「ヒップホップ編」「ポップス編」「ゴシック編」「サイバーパンク編」「ゲーム編」「アニメーション編」「ジャポニズム編」の計8編が、各3回放送されました。この中で、単語としての「アニメ」の発音機会があったものをまとめて取り上げます。結果的に、ナレーション以外は大半が外国人となりました。(「ゴシック編」は、ナレーションを含めて発音機会ゼロでした。なお、「ゲーム編」は、唯一日本人ばかりとなった一方、単語としての「アニメ」の発音機会がありませんでしたが、単語としての「ゲーム」との比較について後日別途取り上げる予定です。)
「アイドル編」では、1969年生まれのアメリカ人で東京大学大学院情報学環教授のジェイソン・カーリンさんが、平板1回のみ(日本語)。アニメ「ルパン三世・カリオストロの城」のクラリスを話題にする中での発音でしたので、アニメ好きと考えていいですね。
「サイバーパンク編」では、1958年生まれのアメリカ人で南カリフォルニア大学教授(映画芸術)のヘンリー・ジェンキンズさんが、起伏1回のみ(英語)。実写映画「マトリックス」(アニメ「攻殻機動隊」も)を話題にする中での発音でした。
「ジャポニズム編」では、1976年生まれのフランス人で白百合女子大学准教授(戦後日本史)のトリスタン・ブルネさんが、起伏2回・平板3回(全て日本語)で、起伏発音は最終回での最後の発言の際のみ。1964年生まれのアメリカ人でイェール大学教授(日本映画)のアーロン・ジェローさんは、平板1回のみ(英語)。1973年生まれのアメリカ人でサブカルチャー研究家(株式会社アルトジャパン副社長)のマット・アルトさんは、起伏1回のみ(日本語)でした。大学で日本語を専攻したほどの方ですが、悪い影響を受けてしまっいるのかもしれませんね、残念です。ちなみに、フランス人の出版芸術家パキート・ボリノさんが、「マンガ」のみ発音機会があり、平板1回のみ(フランス語)。
そして真打ち「アニメーション編」。「アニメ」ではなく「アニメーション」としているのは、海外作品を含む芸術としての側面もきちんと捉えようとしているからのようです。まさか直接的な発音機会(アクセント)を避ける意図があったとも思えませんし。1955年生まれのアメリカ人でタフツ大学教授(日本文化)のスーザン・J・ネイピアさんは、起伏2回のみ(英語)。過去投稿では日本語で平板発音のみだったのに、今回のように英語では辞書的な発音になるわけで、意識して日本語の場合(平板が正統的な発音)と英語の場合(起伏が辞書上の発音)を使い分けているのなら大変素晴らしいとも言えますが。1979年生まれのアメリカ人で日本のアニメスタジオ「デ・アート・シタジオ」CEOのアーセル・アイソムさんは、起伏2回・平板1回(全て英語)。1982年生まれのアメリカ人で専修大学准教授(文化人類学)のパトリック・W・ガルブレイスさんは、起伏2回・平板気味1回(全て英語)で、「マンガ」も平板1回のみ発音機会あり。そして、1951年生まれの日本人で映画監督(出演者中唯一の業界人)の押井守さんは、当然ながら平板3回のみ。このほか、来日中の外国人アニメファンへのインタビューもあり、唯一発音機会があったカナダ人男性は平板1回のみ(英語)でした。
なお、全体を通じて、ナレーションは俳優の玉木宏さん。「アイドル編」は起伏1回のみ、「ジャポニズム編」起伏12回のみ、「アニメーション編」は起伏20回・平板1回。なお、8月5日放送の「特別編・フランス興亡の60S」でも起伏1回のみ発音機会あり。「アニメーション編」は、複合語の「アニメ新世紀宣言」なども日本語の発音ルールに反して起伏発音が3回ありましたが、一方で最後の1回だけですが平板発音も披露されたわけです。過去投稿にもあるように、元々普段は平板基調の方だったようですので、NHKということで忖度(NHK側からの指導はないことは明らか)してしまったのかしれません。ちなみに、「コミケ」も発音機会があり、起伏1回のみでした。普段は馴染みのない(であろう)ものに対する自然な発音ですね。
総じて、外国人であっても、辞書通りの発音(英語は起伏、フランス語は平板)である場合はともかく、日本在住の場合は特に起伏・平板の混在傾向が見られるなど、予断を許しませんね。ナレーションも、特にアニメが直接のテーマの場合は、変な忖度をせず、普段のご自身の発音で通していただければなあとも思います。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)
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