2020年8月29日土曜日

アニソンの中の「アニメ」

 アニソン自体の歌詞の中に、独立した単語としての「アニメ」が登場する例は、アニメやアニメファン自体がテーマの作品が増えた現在でも、意外なことに皆無に近いです。私が知る限りでは、過去に2作品しかありません。(その2作品は、偶然にも現在BSで再放送中です。)

 1986〜1987年にテレビ朝日系で全47話放送されたテレビアニメ「機動戦士ガンダムZZ」。ガンダムシリーズ第3弾で、いわゆる「宇宙世紀」シリーズとして制作されたテレビシリーズとしては事実上最後のものです。本放送は視聴しておらず、特に第1話は去る8月21日に始まったBSアニマックスでの再放送が初視聴と思われますが、新たな発見がありました。第1話は、「機動戦士ガンダム」「機動戦士Zガンダム」の総集編的なストーリー紹介と当作「機動戦士ガンダムZZ」の紹介(構成・脚本はかつて現役東大生時代にアニメ雑誌『アニメック』『OUT』などで活躍した南田操さん)に徹しているのですが、当時としては極めて珍しく(史上初かも)「アニメ」という単語が本編中に登場していたのです。そして、もちろん全員(ファ・ユィリィ役の松岡ミユキさん、ブライト・ノア役の鈴置洋孝さん)がしっかりと自然な平板発音をされていました。
 そして前半OPは「アニメじゃない」。曲名に「アニメ」という単語が入っているのも現在のところ唯一のはず。作詞は秋元康さん、作曲は芹澤廣明さん、編曲は鷺巣詩郎さん、歌手は新井正人さん。第1話では本編中でフルコーラス流れますが、徹頭徹尾平板発音で唄われています(作曲者もそのように意識してメロディーを書いていることになります)。当時は平板発音が当然だったことの何よりの証明です。

 2010年に独立UHF局などで全13話放送されたテレビアニメ「生徒会役員共」。現在まで断続的にシリーズが続いているエロチックギャグアニメで、私自身は去る7月5日に始まったBS11での再放送が初視聴です。少年誌連載とは思えない露骨な下ネタが満載で「現在の少年誌はこういう内容が許されるのか」と衝撃を受けています。
 そのEDは「蒼い春」。作詞・作曲・編曲・歌手はangelaさん(厳密には作詞はatsukoさんのみ、編曲はKATSUさんのみ)。「アニメ」「アニソン」という単語がさりげなく出てくる学校生活などを唄った軽いコミックソング。Bメロあたりの「チョッ、アニメの見過ぎ」というフレーズが、「ニ」にややアクセントがある感じになっていますが平板発音に近く、少なくとも「ア」にはアクセントがないことは明らかです。普段は、atsukoさん起伏平板発音が混在、KATSUさん平板発音している方なのですが、どのくらい意識して作曲されたのかは不明です。

 起伏発音というものは、その単語を強く意識しないとできない発音なのです。歌は、流れに左右されるものですから、「アニメ」という独立した単語であっても、息継ぎ場所など特に意識しない限りは起伏発音(「ア」にアクセント)は大変しにくいはずです。もし「この単語は起伏発音だ」と意識しているならそのようにメロディーをつけてあげないと、歌い手には対応困難と思われます
 つまり、上記2つの事例では、作曲者も歌手も(「アニメ」は)平板発音の単語だと判断していると考えられます

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)

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