2019年7月25日木曜日

京アニ事件の報道

 京アニ(京都アニメーション)での理不尽極まる放火事件から1週間。残念ながらまだ犯人の動機などは解明されないままですが、驚くほど多方面で様々な報道がなされました。事件直後の新聞朝刊は、各紙が一面トップ(日経はトップではなかったですが)やコラムで報じたほか、社説でも最速の毎日新聞をはじめ各紙が1〜2日以内に取り上げました。各テレビ局も、ニュース番組はもちろんワイドショーから時事解説番組に至るまで、実に長時間にわたって取り上げられました。それほど社会に与えた衝撃も大きかったからですが。
 嬉しかったのは、京アニがいかに優秀な会社で世界中にファンがいるかということを世間一般の人々にも広く知らしめたことです。アニメーターが主人公のNHK朝ドラ「なつぞら」放送中であることとの相乗効果(実際コラムなどで触れている新聞社もあり)もあって、「アニメ文化」「アニメ業界」に関してかなりの正確さで理解が深まったのは確かです。業界随一の優れた労働環境(正社員雇用、固定給与制、しっかりした理念に裏打ちされた教育・研修体制、育児ルームなど特に女性に優しい福利厚生)や聖地巡礼などの牽引役でもあったことについて、一部メディアではありますがちゃんと紹介をしてくれています。この事件のもたらした(あくまで反射的・結果的な)効果と言えます。

 テレビ報道での「アニメ」の発音について、視聴した範囲で整理します。
 発音機会があった方は意外と少なかったです。起伏発音の人がやはり多めな感じでしたが、平板発音の方も少なくなかったです。
 フジテレビ系「とくダネ!」では東京のアニメファンの女性のほか社会学者の古市憲寿さんが、TBS系「ゴゴスマ」ではアナウンサーの石井亮次さんや名古屋造形大学准教授の吉川隆之さんが、同じくTBS系「サンデーモーニング」ではアナウンサーの橋谷能理子さんやオンラインメディア「ハフポスト日本版」編集長の竹下隆一郎さんが、しっかり平板発音されていて嬉しくなりました。
 一番驚かされたのはNHK総合「あさイチ」での久米宏さんです。過去投稿でも取り上げたように昔からアニメに冷たい人だったのに、何と自分から事件をわざわざ話題にした上、しっかり平板発音されたのです。いつの間にアニメに理解を持つようになったのだろう、いや案外アニメへの偏見は強くはなかったのかもしれない、と大いに見直しました。

 1つ気になったのは、「アニメ制作会社」の発音です。複合語(2つ以上の単語が合成された熟語)なので、日本語のルールから言えば、最初の単語である「アニメ」は平板発音になるのが原則です。それなのに起伏発音の多いこと(特にナレーション)。よほど「アニメ」を意識しないとできない発音なので、まだまだ特別扱いなんだなあと残念な思いでした。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)

2019年7月23日火曜日

ビデオ購入40周年

 本日7月22日(投稿日は23日になってしまいましたが)は、ビデオ購入記念日です。今年でちょうど40年となります。

 高級品なので購入を親に懇願していたわけですが、1979年の今日、父が仕事上の取引先のソニーショップへ連れて行ってくれたのです。ソニーのベータマックスJ7(ベータ方式。初の2か国語・ステレオ放送対応、最大予約数1)とビクターの最新型(VHS方式。最大予約数5)で正直迷いましたが、前者を選択したのが運命。約28万円のところを父との義理で約23万円に割り引いてもらえました。
 当日は日曜日で高校は夏休みに入っており、午後3時頃父の運転するクルマで持ち帰ったビデオデッキを自分でセットし、試し録りをしました。たまたま放送されていたのが国鉄(現:JR)初のミステリー列車「銀河鉄道999号」の特集番組(「銀河鉄道999ロマンの旅」?)でした。まさにその日運行されたもので走行シーンを生(?)中継している部分を録りました。生テープが大変高価(2時間録画で約4800円)なので、迷わず削除。(数年後に後悔しましたが、2015年10月10日にCSテレ朝チャンネル2で放送されたドキュメンタリー「鉄道の時代」の第13回「上野駅物語」の中で素材映像が流れ、無事録画保存に成功しました。)
 因みに購入動機は、次のようなものです。学習塾の夏期講習(6日間)に通うよう父から厳命されており、翌23日から再放送(月〜金曜日の朝)が始まるアニメ「野球狂の詩」の第1週分が一切観られなくなることに耐えられなかったため、「ビデオを買ってくれるなら通う」という交換条件を出したのです。「CMカットや早送りもできるので時間短縮になる」と強調して説得もした結果、父が渋々承諾してくれたのです。

 あれから40年、現在は一部を除きメディア変換(テープなどからのダビング)して、全てブルーレイディスクでの録画保存となっています。私的録画としての所有枚数は約1200枚。データベースも2010年に完成させ随時更新中。番組数(OP・EDだけの場合なども1件扱い)約2万7千件。件数ベースで約6割(録画時間ベースで約5割)がアニメに関係したもの(作品、情報バラエティー、ドキュメンタリー)です。

 この膨大な映像資料から抜粋して、この活動で「アニメ」の発音に関する私的証拠資料として活用しているわけです。可能な限りの映像記録を保存してきて本当に良かったと思います。
 

2019年7月6日土曜日

学識経験者

 学識経験者とは、基本的には大学教授(准教授、専任講師、名誉教授などを含む。)その他の学者を指します。
 アニメブーム(1977〜1985)の頃から、学識経験者で「アニメ」を平板発音される方は結構いましたし、過去投稿でも少し取り上げた通り現在でも決して少なくありません。

 特に、手塚治虫さんが亡くなった時期(1989年2月9日)には、大量の追悼番組がテレビ放送され、その後数年間は学術的な特集番組がよく組まれました。そして、学識経験者も相当数出演されていました。例えば、1991年2月11〜14日にNHK教育で放送された「NHKセミナー・20世紀の群像〜手塚治虫・「現代」の表現者」では、東京経済大学名誉教授(当時は助教授)の社会学者桜井哲夫さんです。とても詳しく作品を分析されていますが、基本的にすべて平板発音されていました。
 またつい最近も、6月3・10・17・24日にNHK教育で放送された「100分de名著〜アルプスの少女ハイジ」では、早稲田大学文学部教授松永美穂さんが徹底して平板発音されていて、ホッとさせられるとともにとても嬉しくなりました。司会者のうち局アナウンサーの安部みちこさんは残念ながら起伏ばかりでしたが、タレントの伊集院光さん平板2回・起伏3回と混在していました。松永さんにつられた部分もあるかもしれませんが、今後もできれば平板を基本としていただければなあと思います。
 学識経験者でもアニメに理解がある方は平板発音が普通であることを示しています。もっともっと増えてほしいものです。

 NHKセミナー・20世紀の群像
   https://youtu.be/MB2DctjnsAk