アニメ「業界人」とは、映像作品としてのアニメの企画・制作・販売のいずれかを本業とする企業の社員やフリーランスの個人のことです。アニメーター、監督、プロデューサーなど職種は様々です。
アニメの制作自体に直接関わっていてもアニメ以外にも携わっている方々(脚本家、声優、作曲家など)のほか、アニメの企画・制作・販売が本業(専門)ではないメディア関係者(出版社の編集者、テレビ局・ラジオ局・レコード会社のプロデューサーなど)や製作委員会の構成員も、「業界関係者」にはなり得ても「業界人」ではありません。「製作」は、単なる出資にとどまらず、企画・制作・販売を含むお金に関わることすべてを指す概念ですが、アニメ自体が本業でない限り「アニメ業界人」とは言えません。
このように「業界人」は、アニメそのものを生業とするごく限られた方々と言えるでしょう。まさに「匠」と呼ばれるような方々を中心とした世界です。アニメに精通し、ある意味ではアニメを心底愛し、アニメを極めていこうとしている方々なのです。その分、アニメに関わることに大いなる自信と誇りを持っている方々のはずです。アニメ文化の担い手中の担い手である直接の生産者・発信者・表現者なのですから。
ところで、言葉(単語)というものは、その存在自体がその文化を確立させるために不可欠なのですから、「アニメ(アニメーション)文化」が進化・発展・浸透していくためには、「アニメ」という単語がどのように人々の口に上り、「アニメ」という単語がどのように扱われるかは、決して軽視できない重要な事柄なのです。
「アニメ」という単語は、アニメブーム(1977〜1985年頃)の時に初めて世間一般にも知られるようになりましたが、「まとめ」ページや過去投稿などでも触れた通り、業界関係者やアニメファンの多くが当時から「平板」発音だったのです。まして「業界人」は、アニメ文化の進化・発展・浸透の先頭に立っている方々に間違いなく、他の「業界関係者」とは比較にならないほどその自覚が強い方々のはずです。
私が知る限り、「業界人」の方々は当然にアニメブームの頃から「平板」発音でした。「平板」発音することで、アニメ自体やご本人がそれを生業としていることに大いなる自信と誇りを感じておられたに違いありません。
ところが最近は、世間一般の「起伏」発音者に合わせているのか、あろうことか「起伏」発音される方が少なからず見受けられる状況です。くれぐれも勘違いしていただきたくありません。世間一般に広く認められるためには、以前からいだいておられるはずの自信と誇りを貫いていただくしかないのです。「起伏」発音になびくことは、ご本人自らを卑下し、相対的に関心度が低い世間のレベルに合わせようとするものです。世間に擦り寄り、世間に媚を売っているようなものです。それは、アニメ文化の真髄への接近や理解を妨げ、決してアニメ文化の進化・発展・浸透につながりません。「平板」発音に表象されるような自信と誇りが世間一般に受け入れられることこそが「市民権を得る」ということなのですから。
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