「アニメ」は世界の共通語であり、れっきとした日本発祥の単語(外国人にとっては外来語)です。外国語の辞書でも収録語数が多い一部のものにはちゃんと掲載されているほどです。
特にフランス語は、語尾の「e」は発音しないのが原則ですが、辞書では「Anime」の「e」にアクサン記号(アクセント符号のこと。はっきり発音する場合にのみ付記するもの。)がしっかり打たれています。昔(日本がアニメブームだった頃に近い時期)から日本のアニメに親しんできた傾向があるため、当時の日本に倣ってきちんと平板に近い発音で掲載されているわけです。(大学時代に購入した1982年版の辞書で比較しても、英語・ドイツ語には無いがフランス語には載っています。)そして、過去投稿でも実例を紹介したように実際に平板発音の人が多いようです。
同様に他のラテン系言語(スペイン語、イタリア語など)でも、特にスペイン語は、3音の単語は原則として最後の音節にアクセントが置かれるため、同様に平板に近い発音と言えますね。
一方で英語は、特にアメリカでは90年代後半(ポケモン人気の頃)あたりから人気が出てきたせいか、辞書の表記でも第1アクセントの起伏発音が通例となっています。
ところが実は、「マンガ」も外国語の辞書にちゃんと掲載されています。私が調べた限りでは、英語・ドイツ語・スペイン語ではしっかり第1アクセント(「マンガ」の「マ」にアクセント)の起伏発音でした。フランス語では、アクセントが明記されておらず、やはり平板発音に近い扱いのようです。つまり、少なくとも英語に関しては、「アニメ」「マンガ」は全く同様の扱いなのです。実際、例えばCSファミリー劇場で先日放送された「ワールドコスプレチャンピオンシップ2017」(名古屋で毎夏開催されている世界コスプレサミットに関する特番)で、司会の英語通訳担当の外国人男性が「マンガ」「アニメ」「ゲーム」「トクサツ(特撮)」をすべて起伏発音していたほどです。
一般に欧米系(特に英語)では、アクセントが強調される傾向があるため、「Anime」「Manga」のように3音の外来語は第1アクセントになりがちなのです。そのため、日本語や日本文化に馴染んでいけば、次第に「アニメ」「マンガ」とも平板発音になっていくと考えられます。
(個人的には、現代的意味としての「マンガ」が登場した明治初期には日本でも「マンガ」は起伏発音されていた可能性があるとさえ思っています。)
大変心配なことは、当の日本人がしっかり平板発音しないと、「アニメ」「マンガ」が外来語である外国人にとって悪い見本となってしまい、悪影響が及んでしまうことです。長年日本のアニメファンであるような外国人の方々に対して、恥ずかしいし失礼である気さえします。
先日放送された「アニメガタリズ」第5話では、外国人として中国人キャラクターが登場しましたが、案の定起伏発音でした。アジア系は欧米系ほどアクセントを強調しないため平板発音者も多いはずですが、悪い見本が公共の電波で流されてしまい、大変残念な思いです。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)
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