文化の日の今日。アニメ文化をある意味象徴する作品について。それは、2014年10月〜2015年3月にBSフジなどで放送された水島努監督によるアニメ「SHIROBAKO」(シロバコ。以下「本作」)です。
ただでさえ少ない社会人主人公の職業ものアニメで、しかもアニメ制作会社を舞台にした、アニメ業界人すなわちアニメのプロ(「玄人」「匠」)である方々の群像劇です。アニメ業界自体を正面から取り上げた作品は、OVA(オリジナルビデオアニメ)では2001・2004年に計2本制作された大地丙太郎監督による「アニメーション制作進行くろみちゃん」がありますが、テレビアニメとしては史上初です。このような作品の地上波(東京MXなど)での放送が成立する時代になったのか、アニメ文化もとうとうここまで来たか、と感慨深いものがありましたね。
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門(2015年)審査委員会推薦作品賞、東京アニメアワード(2016年)テレビ部門グランプリ、アニメーション神戸(2015年)テレビ部門作品賞など、その出来の良さが高く評価された作品です。業界筋(隣接分野である漫画出版業界なども含みます。)でも大変話題になったようですね。「記録にも記憶にも残る」作品と言え、アニメ100年史に間違いなく刻まれる秀作と断言できます。
富山県に本社を置く制作会社P.A.WORKS(ピーエーワークス)による完全オリジナル作品で、私も大好きな「花咲くいろは」に続く「お仕事シリーズ第2弾」として、プロデューサーである堀川憲司さんや永谷敬之さんの気合の入りようが我々一般のアニメファンにもひしひしと感じられるほどの力作でした。今でも結構人気があるようで、嬉しいです。
そして何よりも、「アニメ」という単語が単独で発音される機会は当然ながら多かったのですが、業界人ではない素人の一部(主人公の姉など)に限り起伏発音を許したほかは、採用面接に来る入社希望者などに至るまで徹底した平板発音に貫かれていました。テレビ東京系などで直前の9月まで放送されていたドラマ「アオイホノオ」(過去投稿で詳しく取り上げましたね。)が起伏発音のオンパレードで時代考証のあまりのずさんさなどに怒り心頭に達していた私を、ものの見事に癒してくれました。本当に救われ、溜飲が下がり、狂喜乱舞しました。そして、本作の製作(制作)者に心から感謝しました。もちろん今でも。
番組制作者の姿勢の大切さを改めて痛感させられた体験でした。きっと本作は、監督やプロデューサーの強いこだわりがあり、音響監督(水島努監督が兼任)のアフレコ現場での指導もあったのでしょう。やはり過去投稿で詳しく取り上げた「げんしけん」も同様ですが、素人のアニメファンの一人として、「玄人」「匠」「通」などの描かれ方はこうでなければならない、と強く感じ入りました。今後、他の作品も追従して欲しいのですが・・・。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)
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