ドラマ(実写映画を含む)本編の中で「アニメ」が発音される機会は本当に増えました。過去投稿(「映像研には手を出すな!」「ヲタクに恋は難しい」など)にもあるように、アニメ版と実写版がある場合、むしろ実写版の方が多く平板発音されていたりすることさえあります。
今年7〜9月にTBS系で放送のドラマ「トリリオンゲーム」。1兆ドルを稼ぐことを目標にベンチャー企業を立ち上げドンドンのし上がっていく型破りなストーリーですが、私が視聴したのは第8話と第10(最終)話のみです。たまたま9月1日放送の第8話の内容が新作アニメの独占配信をめぐるIT企業間の駆け引きで、興味を大変そそられたためです。なかなか凝った展開で、架空のアニメ制作会社「スタジオポポラ」も登場しますが、原作漫画には無いオリジナルストーリーとのこと。「アニメ」の発音機会があったのは、主役コンビの片方である平学(愛称ガク)、スタジオポポラ所属のカリスマ的アニメ監督宇佐美マリの2名のみで、いずれも発音機会は1回のみで自然な平板発音でした。ガク役の佐野勇斗さんは、ボーカルダンスユニットM!LKのメンバーですが、普段から平板発音されているのだとしたらとても嬉しいです。宇佐美マリ役の麻生祐未さんは、役柄がバリバリのアニメ業界人なので当然と言えば当然(もしも起伏発音だったら私は激怒していたところです)なのですが、スタッフからの指導があったのかご本人の判断なのかは不明ですが、やはり普段から平板発音されている方のようにお見受けします。いずれにしろ、ホッとしました。(最新情報によれば、当作は何と今秋テレビアニメ化されるそうです。このアニメがらみの展開がアニメ化される場合、当作ドラマ版のように徹底して平板発音になることを信じたいですが・・・。)
2020年に公開された実写映画「前田建設ファンタジー営業部」。実在のゼネコン前田建設工業がゼネコンのイメージアップのために2004年に発売して話題を呼んだ同名単行本の第1弾(「マジンガーZ」光子力研究所格納庫兼プール建設編)を映画化したものです。永井豪さんも少しだけ出演されています。「アニメ」の発音機会があったのは6名。そのうち、オタク設定らしい近田博樹役の本田力さん、当作に協力した日立造船の実在の技師(氏名不詳)の2名(発音機会は各1回)が平板、他の4名は起伏でした。オタクは平板発音という判断だったのか本田さんご本人が普段からそうなのかは不明ですが、実在の現場の技師さんが平板だったことも含め、何だか救われた気分でした。
業界筋の発音を尊重するという観点に立つならば、アニメ本編の中で「ドラマ」が発音される場合も気になります。今年話題を呼んだテレビアニメ「推しの子」(続編制作決定済み)。発音機会があったのは7名。まずは第3話、ルビー役伊駒ゆりえさんと斉藤ミヤコ役Lynnさんが発音機会各1回でいずれも平板なのに対し、有馬かな役潘めぐみさんが発音機会2回とも起伏。続く第4話。有馬かな役潘めぐみさんが発音機会1回のみで起伏、漫画家のアシスタント役の橋本結さん・夏目妃菜さんは発音機会各1回で平板(夏目さんはやや平板気味という感じ)、ドラマ原作漫画家吉祥寺頼子役伊藤静さんは発音機会1回のみで起伏。最後に第5話。寿みなみ役羊宮妃那さんは発音機会1回のみで起伏。このように若手は平板が目立つ中で、既に中堅クラスの潘めぐみさんが徹底して起伏なことに、大変ホッとしました。この方は実は「アニメ」も起伏発音ばかりなようのため、もしも「ドラマ」を平板発音されていたらショックが大きかったところです。同調圧力(?)に負けておらず安心しました。(過去投稿にもあるように、伊駒ゆりえさんや伊藤静さんは「アニメ」も平板発音されています。)
総じて、少なくとも業界筋では平板発音が自然な場合は、業界物の作品であれば当然それを尊重すべきです。アクセント辞典にも基づいて、起伏発音しか明記されていない「ドラマ」と異なり、起伏発音・平板発音が完全併記されている「アニメ」は、特に意識してアニメ・実写問わず制作にあたっていただきたいと切に思います。特に、「アニメ」「ドラマ」を両方発音する機会があった場合(幸か不幸かまだそういう事例に出くわしていませんが)は、特に留意していただきたい事項です。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)
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