実写映画「ハケンアニメ!」。
ファーストデーに合わせて映画館で鑑賞してきました。辻村深月さんの小説が原作で、2014年に単行本が発売された直後に私も購読しました。それ以来読み返していなかったのですが、「こんなストーリーだったっけ?」と感じてしまいました。小説を読んだときは、聖地巡礼関係の市役所職員の言動が特に印象深かったためです。小説なので発音は気にしなくて済んでいたのに、まさか今頃になって実写映画が公開されるとは・・・(単行本発売直後には既に企画が立ち上がっていたらしいですが)。小説の頃とはだいぶ世情も変わっているためか聖地巡礼はあまり触れられず(ただし企業コラボはちゃんと描写あり)、2組の監督&プロデューサーを中心にアニメ制作の悲喜こもごもがメインとなっていました。
あくまでアニメ業界物ですが、「ものづくり」の楽しさ・苦しさ・素晴らしさ(特に、「表現(制作者の魂がこもった作品)」というものが、誰かの心に引っかかかり大きな影響を及ぼす可能性があること)を描いており、幅広い共感が得られる作品だと思います。劇中アニメも、本物のプロが作る「本気」の作品となっており、きちんと全話観てみたくなるほどでした(解説本が通常のパンフレットとセットで「豪華版」として発売されており、豪華版の方を購入)。総じて、アニメ「SHIROBAKO」と同様の良作ではありましたね。
さて、当ブログとしての本題はここからです。
残念ながら予想通りでした。「アニメ」の発音機会があったのは10名で、それほど多人数ではなかったのは予想通りでしたが。冒頭ナレーションの朴璐美さん(声優)、主役の女性監督斉藤瞳役の吉岡里帆さん、準主役の男性監督王子千晴役の中村倫也さん、斎藤側のトウケイ動画チーフプロデューサー行城理役の柄本佑さん、天才女性アニメーター並澤和奈役の小野花梨さん、秩父市観光課男性職員役の工藤阿須加さん、斎藤側アニメ作品の主演声優群野葵役の高野麻里佳さん(声優)、斎藤側アニメ作品のトウケイ動画宣伝プロデューサー越谷役の古舘寛治さん、王子側アニメ作品のテレビ局幹部星役のみのすけさん、斉藤瞳と仲の良い少年役(役者は不明)です。
平板発音されたのは吉岡里帆さん唯一人。発音機会は最多で約10回ありましたが、そのうち3回が平板でした。最初の回想シーン(入社面接)では素人設定らしく起伏だったのは問題ありませんが、プロになってからはやはり平板発音を徹底していただきたかったですね。監督の指示などによる演出ではないと考えられるため、普段から混在されている方なのかもしれません。
いただけないのは、明らかに業界人の役である中村倫也さん・柄本佑さん・小野花梨さん・古舘寛治さんです。古舘さんは1回のみでしたが、他の3名は複数回いずれも起伏で「業界人にあるまじき発音」が大変不愉快でした。現実の業界人に起伏発音者がいないわけではありませんが、「玄人」としての正統的な発音ができないのは由々しき事態です。特に、プロデューサーは、対外折衝がメインという立場からも、「玄人」らしさが保てないのは「素人」へ悪影響を及ぼす意味で大問題です。
また、声優のお2人は、過去投稿にもあるように起伏発音が目立つ方々のため期待はしていませんでしたが、ある意味「お手本」となる立場なので発音には留意していただきたかったですね。
結局、アニメ業界物での由々しき事例がまた1つ増えてしまったわけです。
監督の吉野耕平さんは、アニメ映画「君の名は。」にCGクリエイターとして参加した経歴もあるため、「アニメに理解のある実写映画人」のはずでアニメ制作現場もご存知のはずなのですが、平板発音の指導はしていただけなかったようです。アニメ業界物ではありませんが社会人アニメファンが主人公の実写映画版「ヲタクに恋は難しい」や高校生が主人公の実写映画版「映像研には手を出すな!」、アニメ業界物としては2018年にBSプレミアムで放送された単発ドラマ「学校へ行けなかった私が”あの花””ここさけ”を書くまで」、いずれも過去投稿で取り上げたように、一部出演者が平板発音を披露してくれていますので、やはり発音指導は無いことがわかっています。アニメ「SHIROBAKO」は、やはり過去投稿で詳しく取り上げたように、少なくともテレビ版は業界人の平板発音が徹底しており、感激したものです。
原作者の辻村深月さんは、「アニメ」の発音はどうなんでしょうか?。過去投稿で詳しく取り上げたテレビアニメ「げんしけん」の例があるように、原作者にこだわりがあれば指導していただけるのでしょうが・・・。
アニメ業界を少しでも取り扱う実写映画の制作陣は、「SHIROBAKO」をもう少し見習っていただきたいものです。
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