2021年11月7日日曜日

「アニメ」と「ドラマ」

   「アニメ」に対する概念として「実写」がありますが、劇場作品以外はジャンルとして「ドラマ」と呼ばれます。テレビ番組としても単語(概念)としても「アニメ」よりずっと古くからあります。どちらも外来語(英語)が元になっています。しかし、アクセント辞典では現在でも、「アニメ」は起伏平板の完全併記となっていますが、「ドラマ」は起伏のみです。

 ご存知のように、業界筋や一部のドラマ好き(ドラマフリーク)の間では、「ドラマ」を平板発音する方々が多いです。1990年代の「トレンディードラマ」が流行した頃から業界関係者(プロデューサー、ディレクター、俳優など)の間で使われ始めたのです。現在でも、アナウンサーはじめ大半の素人(業界関係者以外)は起伏発音が当たり前ですが。

 そのため、俳優さんなどは特に、「ドラマ」をつい平板発音してしまう例も見受けられます。NHK-BSプレミアムで放送中の「アナザーストーリーズ」。10月12日放送の「愛の不時着〜国境を越えた大ヒットの秘密」。話題になった韓国ドラマ「愛の不時着」を取り上げた回です。俳優で司会(ナビゲーター)の松嶋菜々子さんは、発音機会8回のうち3回は平板でした。つい普段の調子で発音してしまったという感じでした。一方、同じ俳優でナレーションの濱田岳さんは、同程度の発音機会で徹頭徹尾起伏発音でした。ナレーションの立場として意識して起伏に徹したのかどうかは不明ですが、特に指導があったとは思われません(過去に平板発音されたことがあった記憶があります。ご本人に意識の変化があったのでしょうか
?)。なお、韓国人インタビューの吹替声優は、女性を担当した方は起伏のみでしたが、男性を担当したお一人が起伏平板が半々でした(この方の場合「アニメ」をどう発音されるのかとても気になります。)。
 「結局は個人」なのでしょうが、松嶋菜々子さんは昔のアニメ業界を題材にした2019年の連続ドラマ「なつぞら」に、濱田岳さんは1980年代のアニメ業界などを目指す若者を題材にした2014年の連続ドラマ「アオイホノオ」に、それぞれ出演経験があります。そういった経験を踏まえて、「ドラマ」を平板発音するほどなら「アニメ」も当然に平板発音していただきたい、と願わざるを得ないです。(松嶋菜々子さんについては、過去投稿にあるように起伏発音されていました。)

 ジャンルとして「アニメ」と「ドラマ」は対等な存在です。両方を同じアクセントで発音されるなら特に問題はありませんが、どちらか一方のみを平板発音されるなら、アクセント辞典の記述や歴史的経緯に倣って、「アニメ」の方であってほしいですね。全くアニメと関わりがない方々なら仕方ありませんが、少しでも関わりを実際に持った方々の場合は特に強く思います。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)


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