2020年12月29日火曜日

まえせつ

 BS日テレなどで放送されたテレビアニメ「まえせつ!」。「らき☆すた」で有名な漫画家美水かがみさんがキャラクター原案のオリジナル深夜アニメで、売れっ子ではない実在のお笑い芸人さんご本人たちもそのまま本人名義で登場する、漫才師を目指す若者たちの群像劇です。ネタの多くは脚本家(シリーズ構成の待田堂子さんら)が考案し、本職のお笑い芸人である天津向さんが監修しています。
 本編開始前の特番(第0話)では、実在のお笑い芸人ふりいくっ!の富田純基さんが(3回の発音機会中1回を除き)平板発音をされていました。
 CSのAT−Xでの宣伝ミニ番組では、実在のお笑い芸人ふりいくっ!のうぶのハツナさんがアニメ好きらしく自然な平板発音をされていたほか、声優の中村桜さん相田あすかさん平板発音で、好感を持ちました。(他に発音機会があった方々の中では、声優の大西亜玖璃さん五十嵐裕美さんが、残念ながら起伏発音でした。)
 本編では、富田純基さんが、アニメ好きを作中でも公言するほどで(第5話での1回を除き)自然な平板発音をされていました。また、高校教師の平野先生役で声優の平野綾さんが出演されており、以前と変わらず自然な平板発音で、ホッとさせられました。当作の音響監督は楽音舎の鶴岡陽太さん。この方は、以前CSのAT−Xでのアニメ情報番組に出演された際(業界関係者らしからず)起伏発音されていて驚かされたのですが、前述の発音実態を見る限り、「アニメ」の発音指導は特にされていないことは明らかです。つまり、出演者個人の判断による発音なわけです。過去投稿にもあるように、(関東・関西など)方言は特に関係ないので、作中でも平板発音が当たり前になるようになってほしいものです。発音指導をしてくれとまでは言いませんが・・・もちろん逆の発音指導(「起伏発音せよ」)はあってはなりませんが。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)


 

 


2020年12月26日土曜日

内と外(本音と建前?)

  身内や仲間内など比較的親しい間柄での言葉遣いと、初対面の相手や世間一般を相手にする際の言葉遣いとが異なるのは、よくあることではあります。「アニメ」の発音についても、そのような意識の違いがあるのかもしれません。

 最近「鬼滅の刃」で知名度向上・メディア露出過多気味の歌手LiSAさんなどは、それが顕著なようです。以前はアニソンイベントなどでも平板発音をされていた方だったのですが、最近は一般の音楽番組やニュース番組などでのインタビューに答える際は起伏発音が目立ちます。
 ところが、去る11月1日にBSプレミアムで放送の「アニソン!プレミアム!」に出演された際は、実家の祖母の話題で嬉々として、堰を切ったように徹底した平板発音でお話しされていました。「身内」意識のようなものが働いてリラックスできたということなのでしょうか?
 また、声優さんなどでも、一般視聴者相手のインタビュー番組などでは起伏発音される一方で、声優仲間同士のおしゃべりの様子などでは平板発音されている、という例も見かけます。

 「アニメ」がもともと平板発音で浸透していったという歴史的経緯から言っても、起伏発音の方が「公式」であるなどということは全くありませんし、そう考えた結果使い分けているのだとしたら、勘違いも甚だしいです。また、「内」と「外」を使い分けるのではなく、むしろ「外」に対してこそ、自信と誇りを持って平板発音を披露していただきたいものですね。今回の「鬼滅の刃」人気で、アニメに縁遠かった人々がメディアを通じて「アニメ」の発音に触れる機会が多くなっているような場合は、特に。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)



 

2020年12月13日日曜日

「アニメ」と「コミケ」

 世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット」、略称「コミケ」。アニメを取り扱った同人誌も数多く、同人誌に興味を持つアニメファンも数多いです。私が実施したコミケ参加者アンケートでは、「アニメ」よりも「コミケ」の方が平板発音者が多く、かつ、「コミケ」は若い世代ほど平板発音者が増えるなど日本語の発音変化の典型例を示していました。

 去る10月14日にNHK教育で放送された「ねほりんぱほりん」の同人誌特集回。お笑い芸人の山里亮太さん(南海キャンディーズ)が司会で、「コミケ」は起伏発音、「アニメ」は平板発音をされており、ホッとさせられました。同人作家(アニメファンとは限らない)も出演しており、うち2名に発音機会がありました。残念ながら両名とも、「コミケ」が平板なのに「アニメ」は起伏でした。過去投稿にもあるように、アニメファンは昔から平板発音が基本であり、またそうであり続けてほしいと思います。また、ナレーションの声優西山宏太朗さんも、「コミケ」は平板なのに「アニメ」は起伏でした。

 2015年1月12日にNHK総合で放送された「知られざる”コミケ”の世界」。出演したコミケ参加者は、発音機会は少なかったですが、「コミケ」は1名を除き平板、「アニメ」は別の1名を除き起伏だったのにショックを受けました (外国人は「コミケ」の「コ」や「ミ」にアクセントを置く起伏発音ばかりでした。また、ゲームファンが「ゲーム」を基本的に起伏発音しつつ1回のみ平板発音していました。)。一番驚いたのはナレーションの声優古川登志夫さんが、(一呼吸置いてから発音するなど)明らかに意識して「コミケ」を平板発音されていたことです。古川登志夫さんは、過去投稿にもあるように40年前のアニメブームの頃から「アニメ」を起伏発音されていた方ですが、「コミケ」についてはコミケ準備会を含む参加者(同人誌文化の担い手)の「文化」に敬意を表して尊重した結果なのだと思います。(「アニメ」は徹底して起伏発音でしたが。)「アニメ文化」を尊重するならば、このような番組ではやはり「アニメ」も平板発音であってほしいと切に思います。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)