NHKの局アナウンサー(元職を含む)は、アナウンサーの中でもとりわけ目立つ存在であり、認知度も高いため、アナウンサーの代表と見られることもあります。アクセント辞典を唯一発行している放送局ということもあり、一種の権威性も帯びているとさえ言えるかもしれません。
NHK総合で放送中の情報バラエティー番組「チコちゃんに叱られる」。6月6日放送(私が視聴したのは翌7日の再放送)回で、「アニメキャラの髪の色はなぜカラフルか」というテーマが取り上げられました。当番組のナレーションをずっと担当している元・局アナウンサー(現在はフリー)の森田美由紀さんは、何と発音機会8回とも徹底して平板発音。近年稀に見る嬉しい事例で、本当に癒されましたし、将来に希望が持てました。やはり大ベテランは違いますね。数々のニュース番組を中心に、真面目で落ち着いた語り口が印象に残っている方です。私より3歳年上で、ほぼ同世代と言えます。きっと昔から当然に平板発音し続けてこられたものと断言できます。ナレーションは、発音機会が多くなりがちのため、発音が徹底していると番組全体の流れもスムーズに感じられほど影響力も大きいのです。アニメを話題にする番組のナレーションはこうであってほしいものです。
平板発音されるNHKアナウンサーさんは、1970年代のアニメブームの頃から決して少なくはありません。過去投稿でも触れた、山根基世さん(1989年に実例あり)、上田早苗さん(2001年に実例あり)、渡邊あゆみ(旧:久能木あゆみ、黒田あゆみ)さん(2022年などに実例あり)、川野一宇さん(1984年に実例あり)、塩澤大輔さん(2017年に実例あり)、宮﨑慶太さん(2024年に実例あり)などです。
最近は世代を問わず起伏発音が大半になっていることが大変残念なのです。また、前述の方々でも、過去投稿にあるように、塩澤大輔さんのように最近は起伏発音が目立つ場合や、ごく最近は渡邊あゆみさんのような大ベテランでさえ唯一の発音機会が起伏発音の場合さえあります。まさか同調圧力(指導まではいかなくとも誰かに意見されたとか)の結果なんてことはないと信じたいですが。
過去投稿の繰り返しになりますが、個々の単語の発音について局側から指導を受けることは基本的に無いらしいし、自学自習の基準となるであろうアクセント辞典でも、「アニメ」という単語の平板発音はしっかり認められています。その掲載基準は、「放送で用いるのにふさわしい」「ある程度あらたまった場面で使っても、多くの人に自然に受け入れられる」「特定の地域や年代を連想させない(東京方言や若者アクセントも排除)」で、「現代における公的な場面でのことばのドレスコード」とのことです。複数併記の場合の優劣も、使用場面や聞き手によって使い分けてよい旨の解説が放送文化研究所のホームページでなされています。
以前のように平板発音する人がもっと増えてくれることを願ってやみません。特にアニメを話題にする番組では局アナウンサー(すなわちアニメ業界関係者ではない方々)と言えども「通」の発音として平板発音を心がけていただければと思います。
以前のように平板発音する人がもっと増えてくれることを願ってやみません。特にアニメを話題にする番組では局アナウンサー(すなわちアニメ業界関係者ではない方々)と言えども「通」の発音として平板発音を心がけていただければと思います。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)