2023年10月28日土曜日

ナレーション

 ナレーションは、直接の出演ではなく陰から関わる立場の喋りですが、番組出演者との間で発音について相互に影響を与え合う関係でもあります。基本的には台本があり、別室で収録し、ディレクターと1対1でやり取りすることが多いようです。ナレーション収録のタイミングは、クイズ番組など番組内容と連携している場合(番組収録と同時並行、番組収録時点では「生」)はまれで、ドキュメンタリー番組の多くは番組収録後、バラエティー番組の多くは番組収録前です。前であれば番組出演者がナレーターの発音から、後であればナレーターが番組出演者の発音から、影響を受ける恐れがあります。しかし、一番影響し合うのは、やはりナレーション収録現場でのディレクターなどスタッフとの間でしょう。

 10月7日にテレビ朝日系で放送の「1万人が選ぶ! ついに決定! 令和VS平成VS昭和アニソンランキング」。最近非常に放送内容にショックを受けた番組です。総合司会はお笑い芸人サンドイッチマンのお2人。一般芸能人からは上川隆也さん、宮田俊哉さん、岩井勇気さん、(途中から)森口博子さん。声優さんからは神谷明さん、宮村優子さん、井澤詩織さん、富田美憂さん、伊藤健人さん、伊駒ゆりえさん、戸谷菊之介さん。生歌披露のゲスト歌手として(森口博子さんのほか)高橋洋樹さん、米良美一さん、松本梨香さん、きただにひろしさん、ゴダイゴ(タケカワユキヒデさんらフルメンバー)がスタジオ出演。
 錚々たるメンバーでしたが、「アニメ」の発音機会があったのは、わずか3名。岩井勇気さんが(今回は)起伏1回のみ、戸谷菊之介さん起伏2回のみ、井澤詩織さん起伏平板各1回でした。井澤詩織さんは、起伏が先でしたが、過去投稿では平板だったことからも、やはり普段は平板発音されている方なのだろうと確信しました。では、なぜ最初に起伏発音してしまったのでしょう・・・。

 実は、3名の声優さんがナレーションを担当されていました。ご本人の年代で割り振られたのでしょうが、全体的内容や昭和ブロックを担当された井上和彦さん、平成ブロックを担当された石田彰さん、令和ブロックを担当された石川由依さんです(偶然にも「い」で始まるお名前の方々ばかりですね)。井上和彦さんは、起伏7回のみ、ただし「アニメ創世記」といった複合語は日本語のルールからも当然に平板3回のみ。石田彰さんは、起伏6回のみ。石川由依さんは、起伏12回のみ。
 大変なショックを受けました。石田彰さんは、最近は起伏ばかりの感じでしたが、1990年代頃は平板発音されていたはずと記憶しています。石川由依さんは、過去投稿にもあるように2016年放送のアニメ「ガーリッシュナンバー」本編中でもしっかり平板されていたように元々平板発音されていた方です。起伏基調の梶裕貴さんと一緒に活動される機会も多いでしょうが、今年3月のアニメジャパンでの「TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season完結編スペシャルステージ」でも変わることなく徹底して平板発音されていました。井上和彦さんは、紛れもないベテランで、過去投稿にもあるように2021年のアニメジャパンの「夏目友人帳」関連ステージイベントで1度だけ起伏気味だったのを耳にしたことがある以外、私の知る限りでは常に徹底して平板発音されてきました。
 それなのに・・・いったいどうしてこうなってしまったのでしょうか。どう考えても、御三方が意識して揃えたとしか思えません。通常は無いはずのディレクターなどスタッフからの指示があったのでしょうか。NHKだと変に意識して忖度してしまうことがあるのかもしれませんが、ここは民放です。ああ〜、何てことでしょう・・・変わらないと信じていたのに。ディレクターの指示(指導)だとしたら、アニソン(アニメ文化の1つ)の歴史を振り返る趣旨の番組でもあるので、もしも統一するならば正統的な発音である平板発音に統一すべきです。歴史認識の誤りですので、アニメ文化の歴史についてきちんと勉強してもらいたいです。変な忖度だとしたら、どうか考え直していただきたいものです。起伏発音が正式」だと勘違いしているとしか思えません。NHK発行のアクセント辞典でも明らかなように、「起伏平板の使い分け」こそが正式なのです。当番組のようなアニメ文化を直接の主題に据える番組では、「使い分け」としては「平板」の方に該当する環境のはずです。平板発音が正統的な発音だとしっかり自覚し、自信と誇りを持って平板発音を披露し続けていただきたい、と切に思います。最近は、声優さんに限らず、普段は平板発音されている方々がナレーション(やアニメ本編中)のみ起伏発音される事例が後をたたないのですが、指導なのか忖度なのかはともかく、アニメ文化の正しい歴史認識に基づいていただかなくては本当に困ります。

 日本の(アニメ文化の)将来に不安を抱かざるを得ず、放送後しばらくは鬱な気分が続いたほどでした(前述の井澤詩織さんの例は、スタジオでも聴こえているはずのナレーションに少し影響されたのかもしれない、と二重の不安を覚えます。)。まだまだこの「SPPALP」の活動は続ける意義があると再認識しましたが、平板発音を「保全」「促進」する有効な手立てがなかなか・・・。とにかく、めげずに頑張ります。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)

2023年10月21日土曜日

最近どーよ!?(音楽関係者中心)

  最近のテレビ番組の感想で、音楽関係者などの「アニメ」の発音をまとめて取り上げます。


 4月2日にBSアニマックスで放送された「ANIMAX MUSIX 2022 PART2」。昨年11月19日に横浜アリーナで開催されたアニソンフェスのテレビ放送版後半です。発音機会があったのは3名のみ(テレビ放送版前半は皆無)。声優の小倉唯さん起伏1回のみ、アニメ「てっぺん」出演声優によるてっぺんオールスターズの1名(氏名未確認)が平板1回のみ、KEIGOさん(FLOWのボーカル)が起伏気味・平板各1回(平板が先)でした。KEIGOさんは、過去投稿にあるように従来は平板だったのに、世間に影響されたのか起伏(気味の)発音もするようになってしまったようで残念です。
 CSのAT−Xで放送中の「Club AT-X」。6月3日初回放送の第500回のゲスト歌手のたいらいさおさん平板2回のみ、6月17日初回放送の第501回のゲスト歌手の美郷あきさん起伏平板各2回でした。「伝説巨神イデオン」OP「復活のイデオン」で有名なたいらいさおさんは、かつてのアニメブーム時に活躍されたベテランらしく、さすがです(松澤千晶さんの代理で同回の司会を務めた結さんは、残念ながら起伏1回のみ)。美郷あきさんは、最初は起伏発音だったのですが、司会の吉野裕行さん(徹底して平板)・松澤千晶さん(当回全体では起伏平板がほぼ半々)に影響されたのか、平板発音も披露してくれたという感じです。
 BS11で放送中の「Anison Days (アニソン・デイズ)」。過去投稿では起伏平板が混在だったReoNaさん起伏2回のみだったのは残念です。麻倉未稀さん起伏気味2回のみ、石田燿子さん起伏気味1回、atsukoさん(angela)起伏1回のみでした。atsukoさんは、ユニットを組むKATSUさんが基本的に平板なので見習っていただければと思いますし、過去投稿にもあるように元々起伏平板が混在している方でアニメ「生徒会役員共ED「蒼い春」では明らかに平板発音で歌唱されていますので、何とかなるはずです。一方で、YouTubeシンガーなすお☆さん起伏気味・平板各1回、  YUKAさん(RYTHEM)と岩田陽葵さん(harmoe)がいずれも平板1回のみでした。タイ出身のMindaRynさん(過去放送時の未公開部分のみ)が平板1回のみで、過去放送分も含めて全て平板のみとわかりホッとしました。

 以下はいずれも、偶然視聴機会が得られた番組です。
 CBC(TBS系ですが関東ではネット配信のTVerでのみ視聴可能)で放送中の「歩道・車道バラエティ  道との遭遇」。道に関する様々なマニア(非芸能人)が全国の面白い道路(廃道なども含む)を案内する旅バラエティー番組です。番組内の音楽情報コーナーで、「宇宙戦艦ヤマト2199」ED「愛詞」も歌唱している中嶋美嘉さんが、自然な平板発音1回でした。やはり、アニソンに関わる一般アーティストはこうであってほしいものです。
 三重テレビ(独立UHF)で約半年間(全9回のうち第5回以降のみ視聴)不定期放送されていた「旅とアニメと音楽と」。アニメ聖地巡礼の旅バラエティー番組で、インディーズ系歌手(アニソンコピーバンドなど同人音楽系)の詩 万利衣さんとギタリストの中村圭之介さんのお2人がレギュラーです。詩 万利衣さんは(私が視聴した限りでは)徹底して平板発音、中村圭之介さん起伏平板が混在(起伏基調)でした。中村さんが詩さんから良い意味で影響を受けて平板基調になっていただければ嬉しいです。なお、素人の方で(私が視聴した限りでは)唯一発音機会があったのは、香川県土庄町(「からかい上手の高木さん」の聖地)の飲食店「園村」店長の望月敦子さんが自然な平板発音で、とても嬉しかったです。なお、ナレーションの演出家・俳優近藤ヒデシさんは、(私が視聴した限りでは)起伏発音ばかりでした。


 次回は、ナレーションについて大変気になることがあったのでまとめて取り上げる予定です。

 (諸般の事情により、動画投稿はありません。)


2023年10月8日日曜日

最近どーよ!?(芸能人中心)

  最近のテレビ番組の感想で、原則として一般芸能人を中心にまとめて取り上げます。ただし、音楽関係者については、別途改めて投稿する予定です。


 フジテレビ系で放送中の「ぽかぽか」。お笑い芸人ハライチのお二人(岩井勇気さん、澤部佑さん)がゲストの芸能人と繰り広げるトークバラエティーで生放送です。
9月7日放送ではアニメ好きで有名な佐久間大介さん(Snow Man)がゲスト。岩井勇気さん澤部佑さんはいずれも(「アニメ」の発音機会は4回ずつでしたが)徹底して平板発音でホッとしましした。佐久間大介さんは、そんな司会のお二人につられた面もあるのか安心したのか、平板発音で始まり、起伏3回・平板4回でした。過去投稿にもあるように起伏発音ばかりの印象だったのに、ちゃんと平板発音できる方なんだとわかり、とても嬉しかったです。普段は平板基調の方なのかもしれません。生放送のスタジオで見学のファンを始め全国の視聴者に良い影響を与えたと思います。大の仲良しという先輩で年上の宮田俊哉さん(Kis-My-Ft2)が、過去投稿にもあるように基本的に(稀に平板発音しそうになって慌ててやめるほど)起伏発音ばかりなのですが、佐久間さんにはどうか平板発音に心がけて宮田さんを感化し安心して平板発音していただけるように変えていただければと強く思います。何しろ人気の芸能人で(ピンでの)露出も多いお二人ですから。ちなみに、「コミケ」は、「アニメ」の発音機会がなかった局アナウンサーの神田愛花さんも含めて全員が平板発音ばかりでした。
 なお、岩井勇気さんは、CSのAT−Xで放送の「あにめすこ〜ぷ・アニメを本職に見せたら聞いた事ない話が飛び出した件」では、声優徳井青空さんと司会を務めていますが、(もともと平板発音だった徳井さんも含め)タイトルコールを始め起伏発音が目立ちます。5月放送の第5・6回の女性アイドル物「シャインポスト」の回では、起伏1回・平板2回と同番組では珍しく平板基調でした。ゲストの中田花菜さん(元乃木坂46)・篠崎こころさん(元プティバ)がいずれも起伏発音ばかりだった中で、ちゃんと平板発音されているわけです。前述のようなアニメ関連ではない一般のバラエティー番組でさえ徹底できるのですから、少なくともアニメ関連番組(特にAT−Xのようなアニメ専門チャンネル)では意識して平板発音を徹底していただければと切に思います。

 日本テレビ系で放送中の「ぐるナイ(ぐるぐるナインティナイン Hi-Tension TV) 〜グルメチキンレース・ゴチになります!」。お笑い芸人ぐるぐるナインティナインが司会で、高級レストランで料理を味わって値段を当てるクイズ形式のコーナーです。9月7日はレギュラーの宮野真守さんを含む男性声優3名が出演。全出演者の中で発音機会があったのは計3名。一般芸能人で唯一発音機会があった盛山晋太郎さん(見取り図)が自然な平板発音1回のみで、とても嬉しかったです。コーナー司会のフリーアナウンサー(元日本テレビ)羽鳥慎一さんが相変わらず起伏発音気味1回のみ、声優の木村昴さんが相変わらず起伏発音2回のみだった中でなので、もともと平板発音されている方だと確信できますから。

 BSフジで放送中の「ビルふら!」。雑居ビルなどの訪問バラエティー番組です。今年1月17日本放送の第14回では、神田古書センターが取り上げられていました。俳優の梶原善さんが自然な平板発音1回のみでした。なお、他に発音機会があったのは、5階の絵本専門店「みわ書房」店長の三輪峻さん(79歳)のみで、残念ながら起伏1回のみでした。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)