外国人について久々にまとめて取り上げます。
昨年(2022年)秋が最初の放送となったスペイン語講座「旅するためのスペイン語(第3期)スペイン・アンダルシア地方編」の第4回「今月の復習」。日本で活躍するアンダルシア地方出身者へのインタビューシリーズで、歌手アイリア(AiRyA)さんの回です。2回の発音機会があり、2回ともしっかりと自然な平板発音でした。ラテン系言語圏であるスペイン語圏の方々は、比較的昔から日本のアニメに親しんでいるため、平板発音者は多いですね。
3月25日にBSプレミアムで放送の「世界サブカルチャー史・欲望の系譜3(日本編)」の第4回(最終回)「90年代」。2名のアメリカ人学識経験者に発音機会がありました。一人は、アレクサンダー・ザルテンさん(ハーバード大学東アジア言語文明学部教授、男性、1973年生まれ、ドイツで育った経験もあり)。日本語で2回、英語で3回発音機会があり、日本語は2回とも平板、英語は「ア」にアクセントがある起伏が2回、「ニ」にアクセントがある感じの起伏が1回でした。もう一人は、スーザン・J・ネイピアさん(タフツ大学教授、女性、1955年生まれ、アニメなどが専門の日本文化研究者として有名)。発音機会2回とも日本語で平板でした。さすがですね。なお、ナレーションの玉木宏さんは、残念ながら発音機会2回とも起伏でした。
4月8日に日本テレビ系で放送の「世界一受けたい授業2時間スペシャル〜外国人がよく行く日本のスポットBEST10」。第5位としてカラオケ(アニソン)も取り上げられました。司会の上田晋也さん(くりいむしちゅー)が、発音機会2回のうち1回はしっかりした平板でした。他の出演者に引っ張られた感じもしました。他の出演者(ナレーションや吹替以外)のうち発音機会があったのは4名。高橋優斗さん(ジャニーズJr.)は、発音機会1回で起伏でした。アニメ好きでも知られる元NHKアナウンサーの武田真一さんは、残念ながら発音機会2回とも相変わらず起伏でした。アニソンに詳しい音楽評論家の冨田明宏さんは、今回は発音機会7回のうち、起伏4回・平板3回で、最初と最後は平板で、途中は起伏が多かったです。日本在住の実業家ルース・マリー・ジャーマンさんは、発音機会3回とも平板(ただし1回は「ニ」にアクセントがある起伏気味)でした。あまり良くない傾向ですね。まだかろうじて踏みとどまっている感じですが。
今回久々に外国人をテーマにしたのは、前述の冨田明宏さんが解説したことが大変気になったからです。現在は、インターネット配信で海外でも最新作が日本とほぼ同時に視聴できるようになったことで、海外在住の外国人の間でも最近のアニソンやアニメへの関心が広まっているのは良いのですが、配信大手(約200か国で配信)のクランチロールは大半が字幕で放送されているとのこと。つまり、日本の声優の発音がそのまま外国人にも伝わるということです。もしも声優がきちんと平板発音せず起伏発音ばかりだとなれば、外国人も「今は本場の日本では起伏発音なんだ」と勘違いする恐れがあるわけです。大変由々しきことです。もう日本国内だけの問題では済まなくなったのです。さすがに日本のCF(CM)までは流れませんが、本編はしっかり流れるのです。そして、アニメ本編中の声優の発音の影響力は、世界的規模で無視できない時代になってしまったのです。アニメへの関心が高い人や、アニメへの接触機会が多い人ほど、声優などの起伏発音に引っ張られやすいことになるわけですし。もう、頭を抱えるしかありません。本気で声優の方々の発音を何とかしなければならない事態だ、と悩みが深まっています。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)