アニメ業界人については、「アニメ」は平板発音が当たり前であり、昔から当然に平板発音し続けている方々が大半のためあまり取り上げてきていませんが、現状把握のため久々に取り上げます。特に、プロデューサーに焦点を当てます。
3月19日にNHK総合で放送の「THE ANIME STUDIO」。アニメ制作会社の内部を直接撮影する形のレポート番組です。地上波でこのような番組が放送される時代にようやくなったのだなあ、と感慨深いものがあります。取り上げられたのはタツノコプロから独立したメンバーが創立したProduction I.G、その子会社であるWIT STUDIO、ガイナックスから分離独立したメンバーが創立したTRIGGERの3社です。TRIGGERの今石洋之さんや吉成曜さん、WIT STUDIOの荒木哲郎さんや浅野恭司さん、いずれも監督・作画監督といった現場スタッフの方々ですが、当然ですが徹底して平板発音です。プロデューサーとして発音機会があったのは2名。WIT STUDIOの中武哲也さんは、2回の発音機会いずれも平板で安心しました。Production I.Gの石川光久さんは、過去には起伏発音を披露されたこともありますが、2回の発音機会のうち、先の1回は起伏気味、後の1回は自然な感じの完全な平板でした。現在は同社会長の身ですが、露出機会も多く、ビジネス関係のイベントで何度もお話を聴いたことがある、個人的にも馴染みのある方です。残念なのは、現在はProduction I.GとWIT STUDIOの両方の社長である和田丈嗣さんです。発音機会は1回のみですが、訪問者である非業界人への呼びかけで、起伏でした。あえて素人に合わせたのかもしれませんが、そうだとすれば大変いただけない態度です。プロである業界人の取るべき態度ではありません。
5月6日にCSのAT−Xで放送の「Club AT-X」第498回は、アニメ企画会社インフィニットの永谷敬之さんがゲストでした。「私の百合はお仕事です!」プロデューサーとしてのご出演で、同番組でプロデューサーが顔出し生出演することは極めて珍しいことです。バンダイビジュアルなどのバンダイグループから独立起業された方で、PAワークスと組んだ一連の作品が特に印象深いです。とても気さくな方で、個人的にお話ししたこともある数少ない業界人なのですが、あの「SHIROBAKO」も担当されていた方でもあり、大変な期待と不安を持って視聴しました。発音機会7回のうち、2回は起伏気味でした。あの永谷さんでさえ現状はこうなのかと、少しショックを受けました。問題の2回は、会話の流れ(文章の流れ)で起伏の方がやや発音しやすかった面はあるでしょうが、7回とも徹底して平板であってほしかったです。ご自身のアニメ遍歴を話される場面などは自然な感じのきれいな平板発音だったので、当然に昔から平板発音されている方だとわかります。司会の松澤千晶さんも、2回の発音機会のうち、先が平板、後が起伏でした。永谷さんに話を振る際は平板だったので、業界人に合わせたのかもしれません。
いずれにしろ、プロデューサーというのは、様々な異業種人と直接接触する「業界の窓口」的立場です。異業種人とお互いに影響し合う部分も大きく、「作品を売り込む」「出資を仰ぐ」立場からは、下手に出ざるを得ず、謙譲をせざるを得ない面はあるのかもしれませんが、謙譲と卑下は違います。決して卑下してはなりません。業界大手のアニプレックスが、社長の岩上敦宏さんや既に同社内ベテラン級プロデューサーの高橋祐馬さんは、過去投稿にもあるように起伏・平板が混在ながら起伏基調になっており(他の同社プロデューサーの方々は、私が知る限りほぼ平板発音ばかりですが)、由々しき事態と感じています。業界人の皆様方には、どうか自信と誇りを持って、平板発音の自然な浸透を妨げない(少なくとも卑下して起伏発音に自ら変えることのない)ようにしていただきたいものです。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)
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