2023年5月27日土曜日

CUE 再び

  過去投稿で一度少し触れましたが、テレビアニメ「CUE!」(2022年1〜6月本放送)を再放送で全24話視聴しましたので、改めて取り上げます。声優事務所を舞台にした新人女性声優たちの悲喜こもごもを描いた作品です。アフレコ(ただしアニメのみ)のほか、ラジオや朗読劇など、昨今主流になりつつある歌唱活動以外もきちんと取り上げており、予想よりもまともな内容で割と良かったです。

 単独語としての「アニメ」の発音機会は、やはり相当数ありました。
 新人クラス(新人声優役)では、16名中10名に発音機会がありました。
  六石陽菜役  内山悠里菜さん 起伏4回(3・12・13話)
  鷹取舞花役  稗田寧々さん     起伏4回(1・3・24話)
  天童悠希役  鷹村彩花さん  起伏3回(3・17話)、平板1回(24話)
  赤川千紗役  宮原颯希さん  平板1回(9話)
  恵庭あいり役 飯塚麻結さん  起伏1回(24話)
  九条柚葉役  村上まなつさん 起伏3回(9・24話)
  夜峰美晴役  安齋由香里さん 起伏4回(12・20話)
  神室絢役   松田彩希さん  起伏1回(24話)
  宮路まほろ役 山口愛さん   起伏2回(12・17話)
  丸山利恵役  立花日菜さん  平板1回(7話)、起伏2回(12・24話)
 このほか、中堅クラス(声優事務所関係者、業界人など)では、所長役の日笠陽子さん、マネージャー役の洲崎綾さん、原作漫画編集者役の中原麻衣さん、総監督役の兼政郁人さんの4名に発音機会があり、全員が発音機会各1回で起伏でした。

 当作に関する過去投稿で取り上げたのは第24話の鷹村彩花さんだけですが、実は起伏続きで最終回だけ平板だったことがわかりました。役柄も特にアニメ好きの面が強い設定なので、当初から平板だったらもっと自然で良かったのに残念です。
 昨年のアニメジャパンのスペシャルコメントで平板だったことを過去投稿で取り上げた村上まなつさんは、実は同時期の当作出演時は徹底して起伏だったとわかり、驚きました。当作収録中(第9話と第24話の間)にスペシャルコメントの撮影があったと思われますが、きっと普段は平板なのに当作収録時は周りに合わせてしまったのだろうという気がします。
 立花日菜さんは、最初こそ平板で大変好感を持ったのですが、周りの影響から忖度したのか起伏に変えてしまった感じです。
 宮原颯希さんだけは、結果的にかもしれませんが平板のみで終わり、少し救われた気分です。

 以上をまとめると、こういったアニメ業界関連の作品では、もっと役柄を意識していただきたいということです。声優の役だけでなく、声優事務所関係者や業界人の役についてもです。特に、監督など直接の制作スタッフの役は、徹底して平板でなければならない立場です。
 いずれにしろ、アフレコ現場での直接的な指導はないことが明らかなわけですので、各人の意識の持ち方次第です。どうかくれぐれもお願いしますね、声優の皆様方。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)


2023年5月21日日曜日

業界人3(プロデューサー)

  アニメ業界人については、「アニメ」は平板発音が当たり前であり、昔から当然に平板発音し続けている方々が大半のためあまり取り上げてきていませんが、現状把握のため久々に取り上げます。特に、プロデューサーに焦点を当てます。

 3月19日にNHK総合で放送の「THE ANIME STUDIO」。アニメ制作会社の内部を直接撮影する形のレポート番組です。地上波でこのような番組が放送される時代にようやくなったのだなあ、と感慨深いものがあります。取り上げられたのはタツノコプロから独立したメンバーが創立したProduction I.G、その子会社であるWIT STUDIO、ガイナックスから分離独立したメンバーが創立したTRIGGERの3社です。TRIGGERの今石洋之さん吉成曜さん、WIT STUDIOの荒木哲郎さん浅野恭司さん、いずれも監督・作画監督といった現場スタッフの方々ですが、当然ですが徹底して平板発音です。プロデューサーとして発音機会があったのは2名。WIT STUDIOの中武哲也さんは、2回の発音機会いずれも平板で安心しました。Production I.Gの石川光久さんは、過去には起伏発音を披露されたこともありますが、2回の発音機会のうち、先の1回は起伏気味、後の1回は自然な感じの完全な平板でした。現在は同社会長の身ですが、露出機会も多く、ビジネス関係のイベントで何度もお話を聴いたことがある、個人的にも馴染みのある方です。残念なのは、現在はProduction I.GとWIT STUDIOの両方の社長である和田丈嗣さんです。発音機会は1回のみですが、訪問者である非業界人への呼びかけで、起伏でした。あえて素人に合わせたのかもしれませんが、そうだとすれば大変いただけない態度です。プロである業界人の取るべき態度ではありません
 5月6日にCSのAT−Xで放送の「Club AT-X」第498回は、アニメ企画会社インフィニットの永谷敬之さんがゲストでした。「私の百合はお仕事です!」プロデューサーとしてのご出演で、同番組でプロデューサーが顔出し生出演することは極めて珍しいことです。バンダイビジュアルなどのバンダイグループから独立起業された方で、PAワークスと組んだ一連の作品が特に印象深いです。とても気さくな方で、個人的にお話ししたこともある数少ない業界人なのですが、あの「SHIROBAKO」も担当されていた方でもあり、大変な期待と不安を持って視聴しました。発音機会7回のうち、2回は起伏気味でした。あの永谷さんでさえ現状はこうなのかと、少しショックを受けました。問題の2回は、会話の流れ(文章の流れ)で起伏の方がやや発音しやすかった面はあるでしょうが、7回とも徹底して平板であってほしかったです。ご自身のアニメ遍歴を話される場面などは自然な感じのきれいな平板発音だったので、当然に昔から平板発音されている方だとわかります。司会の松澤千晶さんも、2回の発音機会のうち、先が平板、後が起伏でした。永谷さんに話を振る際は平板だったので、業界人に合わせたのかもしれません。

 いずれにしろ、プロデューサーというのは、様々な異業種人と直接接触する「業界の窓口」的立場です。異業種人とお互いに影響し合う部分も大きく、「作品を売り込む」「出資を仰ぐ」立場からは、下手に出ざるを得ず、謙譲をせざるを得ない面はあるのかもしれませんが、謙譲と卑下は違います。決して卑下してはなりません。業界大手のアニプレックスが、社長の岩上敦宏さんや既に同社内ベテラン級プロデューサーの高橋祐馬さんは、過去投稿にもあるように起伏平板が混在ながら起伏基調になっており(他の同社プロデューサーの方々は、私が知る限りほぼ平板発音ばかりですが)、由々しき事態と感じています。業界人の皆様方には、どうか自信と誇りを持って、平板発音の自然な浸透を妨げない(少なくとも卑下して起伏発音に自ら変えることのない)ようにしていただきたいものです。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)

2023年5月4日木曜日

最近のアナウンサー

 最近は、NHK・民放問わず、地上波・衛星波問わず、起伏発音のアナウンサーが大半という感じですが、特に気になった事例をフリーアナウンサー・局アナウンサーから一例ずつ紹介します。 


 フリーアナウンサーの方の例は、八木美佐子さん。CSのAT−Xで放送の「Club AT-X」。4月1日初回放送分では、いつものフリーアナウンサー松澤千晶さんが有給休暇のため代役で司会を務められていました。(フリーと言いつつ、松澤さん共々ホリプロ所属)。もう一人の司会の声優吉野裕行さんがいつものように徹底して平板発音(ゲストも業界人で当然に平板発音)の中平然と、発音機会6回のうち5回は起伏で、1回のみやや平板気味でした。いや、普段のご自分を貫くこと自体は悪くないのですが、アニメ情報番組においては「アニメ」の発音に留意すべき、という意識が欠落している感じを受けました。フリーアナウンサーの方々は、放送局の垣根を超えられる汎用性の高い立場なので、アニメ情報番組においてはそれなりの意識(事前調査も行なっていればなお良し)を持っていただきたいものです。

 局アナウンサーの方の例は、テレビ朝日の安藤萌々さん。4月20日放送の「報道ステーション」にメインキャスターの一人として出演。中国での「スラムダンク」などの日本アニメ人気の特集コーナーでは、キャスターの大越健介さん小木逸平さん、リポーターの高橋大作記者がいずれも起伏発音(高橋大作さんは発音機会3回とも)の中、発音機会2回とも平板気味でした。周りに影響されず平板発音らしき発音を苦労してされていた(起伏発音することに抵抗を感じていた)感じで、大変好感を持ちました。最近の若い女性アナウンサーでは数少ない事例で、大変勇気づけられました。なお、「ドラマ」についても、大越健介さんが平板発音され、それに続く形で平板発音されたので、普段から「アニメ」「ドラマ」とも平板発音されている方なのだろうと推察されます。
 念のため付言しますと、アクセント辞典では、「アニメ」は起伏平板の併記でその使い分けが認められていますが、「ドラマ」は起伏発音のみとなっています。大越健介さんに対しては、日常生活はともかくアナウンサーとしての出演時は、「ドラマ」を平板発音するほどなら、「アニメ」も当然に伝統(先輩アナウンサーを含む)やアクセント辞典に従い平板発音していただきたいものだと、強く指摘したいところです。

 (※諸般の事情により、動画投稿はありません。)