個々の単語の発音のあり方を考えるとき、テレビ局やラジオ局のアナウンサーさんの影響力は絶大です。特にNHKは、良くも悪くも権威があります。
過去投稿の繰り返しになりますが、個々の単語の発音について局側から指導を受けることは基本的に無いらしいし、自学自習の基準となるであろうアクセント辞典でも、「アニメ」という単語の平板発音はしっかり認められています。
平板発音されるNHKアナウンサーさんは、1970年代のアニメブームの頃から決して少なくはありません。過去投稿でも触れた山根基世さん(1989年に実例あり)のほか、上田早苗さん(2001年に実例あり)などです。最近は世代を問わず起伏発音が大半になっていることが大変残念なのです。以前のように平板発音する人がもっと増えてくれることを願ってやみません。
また、アニメ歌手(アニソン歌手)についても、同様です。大御所クラス(例:水木一郎さん、佐々木功さん、堀江美都子さん)は当然に平板発音ですが、最近の人は起伏発音している人が少なくありません。りっぱな業界関係者なのだから、テレビなどでの露出も多いのだから、先輩たちを見習って、どうか誇りを持って、積極的な平板発音で世間をリードしてほしいと思います。
NHK「スタジオパークからこんにちは」
https://youtu.be/M5zB8SAF-r4
過去投稿で触れた方々以外にも、平板発音をされる(ことが多い)方は大勢います。
例えば、評論家の宮崎哲弥さんや東浩紀さん、精神科医の斉藤環さんや香山リカさん、タレントの山田五郎さんや乾貴美子さん、ミュージシャンの大槻ケンヂさんなどです。あげればキリがありませんが。このほか、大学教授などの学識経験者でも決して少なくはありません。
これだけ多くの方が過去から平板発音していることからみても、決して平板発音がアニメ業界関係者やアニメファンだけの特殊な発音ではないことは、わかっていただけるでしょう。だからこそアクセント辞典でも、平板発音が正式に認められているのです。
現在起伏発音されている方々(特に若者)のうち、アニメに関心のある方、アニメに仕事などで直接関わりのある方は、違和感を持つことなく平板発音者に馴れていってもらいたいと思います。そしてご自身も一度試しに平板発音をしてみてください。きっと「通」の仲間入りをしたような気分になれると思います。決して強制ではありませんが。
NHK「BSアニメ夜話」
https://youtu.be/Jl38dUZiwAg
原作漫画が先頃完結した「げんしけん」は、大学のアニメ関連サークル「現代視覚文化研究会」を舞台にした青春群像劇です。2004年と2007年の2度(さらに2013年には続編の「げんしけん2代目」も)テレビアニメ化されています。
本編中に「アニメ」という単語が違和感無く登場しますが、その頻度は意外と少ないです。非アニメファンのキャラでなくても起伏発音されているシーンもあるにはありますが、基本的にはアニメファン設定の各キャラはちゃんと(原作の記述同様)平板発音しています。音響監督さんの指導があるかもしれませんが、当時の声優さんたちはきちんとしていたわけです。
2005年前後の「電車男」ブーム以降、アニメファンやオタク自体をテーマにした作品(アニメ、実写とも)が珍しくなくなりました。しかし、この「げんしけん」と違い、アニメファン(オタク)のくせに平然と起伏発音するキャラ(声優さん)が後を絶ちません。どうしてこうなっちゃったんでしょうか?きちんと「げんしけん」に倣って平板発音を徹底するよう、音響関係者(音響監督、声優など)の方々には強く意識してほしいものです。
https://youtu.be/N4xKxlzL9a4
(著作:現視研研究会、コミフェス準備会)
(※諸般の事情により、音声のみです。)