アニメ作品の本編中に「アニメ」という単語が出てくることは、もはや珍しいことではありません。アニメやアニメファンを直接題材にしなくても、いつ出くわすかわからないほど一般化した気配すらあります。今年2022年に本放送された作品で、いつくか例を挙げます。
1〜6月本放送の「CUE!」では、声優事務所を舞台にした新人女性声優たちの悲喜こもごもを描いた作品のため当然に発音機会があります。実は第23・24話しか視聴していないのですが、第23話では1名(1回)のみ、第24話では5名(各1回)に発音機会がありました。その中で第24話での天童悠希役の鷹村彩花さんのみが平板でした。アニメ好きの程度が高そうな設定の役柄ではありますが、ご本人もやはり普段から平板発音されている方なのだろうと推測されます。
1〜3月本放送の「その着せ替え人形は恋をする」では、主役である喜多川海夢役の直田姫奈さんは、第1話で起伏1回、第2話で平板1回、第10話で起伏・平板各1回でした。ギャルっぽいけどコスプレ大好きな少女という役柄なので、第2話では「通」っぽい言い回しとして平板発音してくれた感じがしました。第10話が混在となったのも、元々直田姫奈さんご本人が普段は平板だからという気がしました。この手の「オタク」が主役の作品では、遠慮せずに平板発音で押し通して欲しかったと思います。一方で、もう1人の主役である五条新菜役の石毛翔弥さんは、元々は門外漢だったのが喜多川海夢に影響を受けてコスプレ衣装作りにはまっていく役柄のせいか、発音機会2回(第6話・第7話での各1回)とも起伏でした。
4〜6・10〜12月本放送の「SPY×FAMILY」では、子供のアーニャがテレビでアニメを観たりする場面があるため、アーニャ役の種崎敦美さんやロイド役の江口拓也さんが数回発音機会がありました。ほとんど起伏でしたが、第20話の前半でロイドの「何のアニメで覚えた」という台詞のみ平板でした。普段の(素の)江口拓也さんが出たとも考えられますが、たまたまだったようにも思われます。なお、CF(CM)でも、お二人を始めダミアン役の藤原夏海さんも起伏発音されており、残念でなりません。お三方でそれとなく合わせてしまっているのでしょう。そのほか、第20話の後半でも、近所のおばさん役の岸本百恵さんも起伏でした。
10〜12月本放送の「ぼっち・ざ・ろっく」では、実は本編中では発音機会がありませんでしたが、主役の後藤ひとり役の青山吉能さん(熊本ご出身ですが元・Wake up,Girls)がCF(CM)で起伏発音されていますが、10月2日BS11で放送の「ぼっち・ざ・ろっく! #宇宙 #日本 #下北沢 #放送直前特番」では「アニメ」の発音機会はなく「ドラマ」を平板発音されていたのが気になります。一方、バンドリーダー伊知地虹夏役の鈴代紗弓さんは、同番組内で自然な平板発音をされていました。(ベースの山田リョウ役の水野朔さんは、残念ながら起伏発音でしたが。)
何が言いたいかと言いますと、「結局は個人」なのですが、若手の声優さんでもきちんと平板発音できる方々は決して少なくないのでもっと頑張っていただきたいということと、中堅やベテランも含めて、周りに遠慮することなく、普段の発音を出して良い(ただし、アニメファンや業界人などアニメに特別な関わりがある設定・役柄のキャラを演じる際は特に意識していただきたい)ということです。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)