NHK総合でこの1月から始まったアニメ「映像研には手を出すな!」。高校のアニメ自主制作サークルを舞台にした漫画原作付きで、湯浅政明監督の久々のテレビシリーズです。独特の軽めのデザインと動きのキャラクターが小気味良く、アニメ制作系サークルの楽しげな雰囲気が軽妙に伝わってくる佳作です。
案の定、メインの女子高生キャラ3人とも「アニメ」を起伏発音。担当声優で言えば、松岡美里さん・田村睦心さんはやや平板気味だった時もわずかにありましたが、主演の伊藤沙莉さんはスペシャル番組の時から徹底した起伏発音。教師役の横島亘さんもしっかり起伏発音。不自然なくらい意識して起伏で強調されている感じすら受け、起伏発音で統一するよう指導されている気配も漂います。顧問教師役の井上和彦さん(ベテランらしく昔から徹底した平板発音の方です。)にまだ発音機会がありませんが正直戦々恐々の心境です。まさかの事態にならないことを心底願います。
どうしてこうなんでしょうか?過去投稿で詳しく取り上げた2017年の「アニメガタリズ」でもそうでしたが、最近の作品はこんな状況ばかりで辟易してしまいます。やはり過去投稿でも詳しく取り上げた2004・2007年の2期にわたり放送された「げんしけん」(初代)は、アニメ系サークルを取り扱った実質的に史上初のTVアニメシリーズでしたが、原作漫画も含めてアニメファンは平板発音であることが明確に意識されており、平板発音が徹底していました。
アニメ研究系のサークル(クラブ活動)はアニメ好き(少なくとも関心は有り)の集まる場のはずなので、「通」の集団と言っても過言ではありません。発音を統一するのであれば(「げんしけん」のように)「通」らしく平板発音しかありえないはずです。湯浅政明監督は当然に平板発音のはずですが、木村 絵理子音響監督のご判断でしょうか?確かに最近の若者は起伏発音者が多い傾向にありますが、(当ブログ内の別ページにある)コミケ参加者アンケートの感想でも述べたように、大学などのアニメサークル関係者の多くは自然な平板発音でした。(私自身も、大学時代にアニメ関係のサークルに所属していましたが、アニメブームの真っ最中だったこともあり、当然に全員が平板発音でした。)
こういった事実を踏まえれば、「げんしけん」のように適切な対応をしている事例を見習い、アニメ系サークル所属のアニメファンの描き方に細心の注意を払っていただきたいものです。当作のような事例が積み重なると、現実の若いアニメファンまでが影響を受けて起伏発音に変わってしまいかねないので大変心配です。NHK総合という全国同時ネットの地上波の影響力はとても大きいですから。
当作のアフレコはまだまだ続きますが、終盤だけでも、またアニメ好きな設定のキャラの一部だけでも、平板発音が聴かれるようになれば幸いです。(アニメ制作にドップリ浸かっていく主人公たちが平板発音に自然に目覚める形もありえます。)
間違っても、起伏発音を徹底するような指導だけはしないでいただきたいです。
(※諸般の事情により、動画投稿はありません。)